歴史の荒波にのまれながらも信念を貫いた若者たちを描いた映画「燃えよ剣」(公開中)。自身が演じた新選組副長・土方歳三について岡田准一さんは「これまでいろんな役を演じさせていただきましたが、一番格好いい」と心底ほれ込んだ様子。元号が令和に変わる直前の撮影、そしてコロナ禍のさなかでの公開となったが、「激動の時代にいかに生きるべきか、今の時代につながる何かがあるんじゃないか」とし、「『こんな新選組が見たかった』と言ってもらえる作品になっているか映画館で確かめてほしい」と胸を張った。(時事ドットコム編集部 宗林孝)
多摩の薬売りだったにも関わらず剣術と知恵を駆使してのし上がり、滅びゆく徳川家にその命をささげ、散っていった男の姿をドラマチックに書き尽くした司馬遼太郎のベストセラーが原作。9月9日の完成報告から10月15日の初日舞台あいさつまで4回行われたイベントでの岡田さんの発言を通じて今作の魅力を探ると―。
岡田さんが何度も誇ったのが関係者のチームワークの良さ。新選組は裏切りを許さぬ鉄の掟(おきて)で知られ、内紛と粛清が絶えなかった一方で、土方、局長・近藤勇、一番隊組長・沖田総司の3人の結束は揺らぐことがなかったとされる。今回の映画の撮影で岡田さんが頼もしく感じていたのが、近藤を演じた鈴木亮平さんのリーダーシップだったようだ。
「(隊士の)誰かが悩んでいたら、鈴木さんは食事に連れて行くとかケアをしてくれる。(新選組が尊王攘夷派志士を襲撃した)池田屋に行くシーンの直前にもみんなで『行くぞー』みたいなのをやった。そういうので(隊士同士の)空気感みたいなものがつくれたと思います」
その結束の強さが強烈に表れたのが若き近藤、土方、沖田が3人で取っ組み合うシーン。当初は岡田さんと沖田役の山田涼介さんだけの絡みだったが、それを見学に来ていた鈴木さんが「俺もやりたい」と“参戦”を希望。剣技の構築と指導も担っていた岡田さんは、原田眞人監督からシーンの変更を頼まれ、「サウナの中で考える羽目になりました」と、苦笑いを浮かべていた。
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