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警察庁長官VS警視総監、偉いのどっち? 基本からおさらいしてみた

2021年10月22日14時00分

 警察庁トップの警察庁長官と警視庁トップの警視総監がいずれも9月に交代し、第29代長官に中村格氏が、第97代警視総監に大石吉彦氏が就任した。「いったいどちらのトップの方が偉いの?」「そもそも2つの組織は何が違うの?」。日本の警察の仕組みそのものに関わる素朴な疑問。分かっているようで、明確に説明できる人はそれほど多くないのではないか。基本からおさらいしてみた。(時事通信社会部 鈴木英明)

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◇成り立ちは?

 現在の日本の警察制度は、1954年に制定された警察法に規定されている。同法によって設立された警察庁は、財務省や国土交通省などの行政機関と並ぶ中央省庁の一つ。財務省には財務大臣が、国交省には国交大臣がいるように、警察庁を管理する行政委員会「国家公安委員会」の委員長は国務大臣だ。

 一方、警視庁は東京都に置かれた警察で、北海道の北海道警、大阪府の大阪府警などと同じ位置付けだ。県の警察を「県警」と言うように「東京都警」と呼ばない理由は、警察庁よりも古い歴史にある。明治時代の1874年に首都の治安を守る警察「東京警視庁」として設置され、その後「警視庁」に改称。戦後、現在の警察制度が導入された際にも名称は維持された。歴代トップの人数が警察庁長官より圧倒的に多いのも、東京警視庁を創設した川路利良を初代としているためだ。

◇仕事内容は?

 殺人や振り込め詐欺などの事件での容疑者の逮捕、交通取り締まりや警戒警備といった活動は、原則として警視庁や各道府県警が担い、それぞれに所属する現場の警察官が日夜、捜査や街の巡回などに従事している。テレビドラマなどでは、スーツ姿の男性が警察手帳を示し、容疑者に手錠をかけるシーンがあるが、これは現場の警察官の仕事だ。

 これに対し、警察庁の職員の業務は、法律案の検討や事件・事故統計の取りまとめ、予算案の作成など。皇室の警護に当たる皇宮警察や、国境を越えたサイバー攻撃に各国と連携して捜査に当たるため2022年度に新設される方向となったサイバー隊を除き、通常、警察庁職員が現場で手錠をかけるようなことはない。

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