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大谷翔平、「引っ張り」で本塁打王争いリード 40本クリア、夢の領域へラストスパート

なるか、タイトル獲得&50本

 夢の領域へ、着実に前進している。米大リーグ、エンゼルスの大谷翔平選手(27)が今季の本塁打を両リーグ一番乗りで40本に乗せ、9月5日現在で43号。本塁打王争いで2番手のサルバドール・ペレス(ロイヤルズ)に2本差、ブラディミール・ゲレロ(ブルージェイズ)には4本差をつけている。

 大谷は40号を打った際に「まだ終わってはいない。もちろん30本台から40本台に移るという意味では大きいことだと思う。きょうのように甘い球をしっかり打てる打席が多ければ、いい結果は出ると思う。あまり気負うことなく、しっかりとそういう打席をつくれればいい」。いつものように、淡々と語った。

 日本選手がメジャーで本塁打王になれば、快挙や偉業というレベルを超越すると評しても過言ではない。しかも投打の二刀流。3日には投手で9勝目を挙げ、2桁勝利にも迫る。シーズンは残り約1カ月。タイトル獲得、さらに50本の大台へ、ラストスパートをかける。(時事通信ロサンゼルス特派員 安岡朋彦)

◇ ◇ ◇

 節目の40号は、本塁打を量産する今季の打撃を象徴する一発だった。タイガースのホセ・シスネロの真ん中付近に入ったスライダーを逃さず、打った瞬間にそれと分かる打球は、430フィート(約131メートル)の飛距離で右翼席へ。41号も42号も、そして43号も甘く入った変化球を引っ張ってスタンドまで運んだ。

 大谷の打撃は、日本ハム時代から中堅方向を中心に大きな当たりを飛ばすイメージが強い。本人も日頃、「基本的にはセンターにしっかり打てればいいと思っている」と語っている。ただ、今季は右翼へ引っ張った本塁打が急増している。

 大リーグのデータサイトによると、昨季までの3シーズンの計47本塁打のうち右翼方向への「引っ張り」に分類される当たりは11本。これに対し、今季は9月5日までに放った43本塁打のうち、23本が「引っ張り」としてカウントされている。統計の上で「引っ張り」に分類されなかった右中間への一発もあり、実際に右翼方向へと飛んだ本塁打は23本よりも多い。

 右翼方向への豪快な打撃は、長距離打者らしい一面でもある。身長196センチの左の強打者、マット・オルソン(アスレチックス)は右翼方向への本塁打が65%以上を占める。そのオルソンが語った。「(左のホームランバッターでも)中堅や左方向に多く打球を飛ばす選手もいる。大谷はどこにでも打てるけど、(今年の打撃を見れば)彼も右翼側がより飛距離の出る『パワースポット』みたいだね。だから右翼方向にたくさん本塁打が出ている。僕や大谷のような体の大きな選手は、引っ張った打球の方がよく飛ぶものなんだ」

相手投手の変化球が増加

 大谷本人の分析によれば、右翼方向への打球が増えた要因は、配球の変化が影響している。7月にはこんな説明をしていた。「(今季は)オフスピード(変化球)が多いなという印象。『ボールでもいいや』くらいの(感覚で相手投手が投げてきた)オフスピードの球がストライクゾーンに入ってきたのを打っている感じ。その分引っ張っている打球が多いと思う」

 中堅方向を狙う打撃のスタイルは変わっていないが、スピードの遅い変化球を打つ機会が増えた分、右翼方向への打球が増えているということだ。今季の大谷は速球に強く、おのずと変化球の割合が増える。3シーズン前の2018年は58.2%が速球系(直球、カットボール、シュート系の速球)だったが、今季は48.7%に減少(4日現在)。大谷に対する投球の半数以上が変化球だ。43本塁打の段階で22本は変化球を捉えた当たり。変化球攻めにしっかりと対応していることを意味する。

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