かまぼこやちくわなど、練り物の人気が高まってきた。低脂肪・高たんぱくの魚肉に、筋肉に欠かせない必須アミノ酸が豊富に含まれることが注目され、運動や健康と関連付けた商品が続々と誕生。健康志向を背景に、水産加工業者などはPRに躍起となっている。(時事通信水産部長 川本大吾)
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おせち料理に使われるかまぼこや、おでんの具材でおなじみのちくわ、さつま揚げなどの練り物は、食の多様化により需要が減少。農林水産省によると、2020年の水産練り製品の生産量は、約47万3000トンで、1975年(約115万5000トン)に比べ、6割近く減少した。80年代の前半には、「カニかま」ブームなどにより、いったん消費は上向いたものの、その後は減少傾向に歯止めが掛からず、水産加工業者の数も大幅に減少した。
水産加工業者などで構成する日本かまぼこ協会(東京)は、「かつて1000業者を超える加盟があったものの、今は600業者ほど。消費量の減少や後継者不足で廃業する業者が相次いだ」という。
筋肉との関わりで脚光、業界もPR
関係業者の苦境が続く中、数年前から「魚肉練り製品には人の体内で合成できない多種類の必須アミノ酸がバランス良く含まれている」(同協会)ことがテレビ番組などで取り上げられ、筋肉の保持に役立つなど健康や運動面でのメリットがクローズアップされている。
加えて、新型コロナウイルスの影響による巣ごもりや、東京五輪・パラリンピックの開催などもあり、ここへきて練り物の消費がにわかに上向いてきた。好機を逃すまいと、同協会は魚肉たんぱく質が一定の基準を超える商品に付けるロゴを作成。魚と食卓をモチーフに「フィッシュプロテイン」と表示してアピールしている。
さらに同協会は、タレントの田中律子さんの協力で、ヨガをベースとした簡単な体操の動画をユーチューブで配信。体力が心配だったり、筋肉を維持したいと感じたりしている人に、運動とともにフィッシュプロテイン摂取の大切さを伝えている。
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