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中国が本気で倒しに来た 卓球女子・馬場美香監督に聞く

手探りだった強化の手応え

 東京五輪の卓球で混合ダブルス金メダル、団体銀メダルなどの実績を残した日本女子代表の馬場美香監督が9月末で退任する。就任から5年。コロナ禍での大仕事を終えた気持ちや、今の日本と中国の差をどう感じたか―などを聞いた。

 ◇ ◇ ◇

 ―閉幕から1カ月余。改めて今回の五輪を振り返って。

 「五輪が開催されたことにまず感謝しています。だから無事に終わったというのが、終わった直後も今もまず初めに感じることですね」

 ―就任から5年。何が大変でしたか。

 「コロナだけでなくさまざまなことがあり、自分の中で大変かなと思うことも多々ありましたが、乗り越えられたのは、多くのサポートのおかげです。人は上に立てば立つほど、誰かに相談できなくて一人で考えたり決断したりすることがたくさん出てきて、当たり前と言えば当たり前ですが、それが大変でした。想定外のことがあった時に、考える時間が多くなりました」

 ―女子は各選手が母体(所属先や個人のチーム)を中心に活動していることの難しさは。

 「どう強化していくか、どの方向へ進んでいくかという点で私がどう思っているか、母体のコーチは、選手はどうか。3者間のコミュニケーションが取れてトライアングルがうまくいけば強化は進んでいくので、その点は特に…。両方が勝ちたいわけだから」

 ―一人で考えることとは。

 「選考された選手を、勝つためにどう持っていくか。世界選手権は選考から大会まであまり日がありませんが、五輪はコロナがなかったとしても半年。今回はさらに1年延びて、強化できるところも難しい部分もあったので」

 ―延期はプラスでしたか。

 「正直、やってみないと分からないと思っていました。強化もできるけれども試合がないので比較ができない。他の国の選手と対戦してどうなっているか、中国と対戦してどうか。それと勝負勘が持続できているか。予想できない部分が多かったので、選手ができる限り違和感なくプレーできるよう、すごく工夫したり悩んだりして考えたつもりです」

 ■馬場 美香(ばば・みか) 旧姓星野。1965年7月5日生、群馬・前橋東高3年で83年世界選手権東京大会代表に選ばれ、団体準優勝。左ペンホルダー、裏ソフト、前陣速攻型。同年、高校生で史上2人目の全日本チャンピオンになった。全日本7回優勝。世界選手権5回出場(当時は1年おき)。88年ソウル五輪女子ダブルス4位。引退後は福原愛のコーチなどを経て2016年10月、女子ナショナルチーム監督に就任した。

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