女子マラソンの日本勢復活なるか―。東京五輪閉幕前日の8月7日に行われる陸上の同種目で、日本勢は2004年アテネ五輪金メダルの野口みずき以来、17年ぶりの表彰台に挑む。19年9月のマラソングランドチャンピオンシップ(MGC)で優勝した前田穂南(天満屋)、2位の鈴木亜由子(日本郵政グループ)、20年3月の名古屋ウィメンズを2時間20分29秒で制した一山麻緒(ワコール)の3人。日本勢は3選手が8位以内に入った04年アテネ大会を最後に、入賞からも遠ざかっている。1984年ロサンゼルス五輪代表で、スポーツジャーナリストの増田明美さん(57)に日本選手の特長や展望を聞いた。(時事通信運動部 青木貴紀)
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◆日本代表(主な実績と自己記録)
前田穂南(25)=天満屋
(17年北海道優勝。19年MGC制覇。2時間23分30秒)
鈴木亜由子(29)=日本郵政グループ
(18年北海道優勝。19年MGC2位。2時間28分32秒)
一山麻緒(24)=ワコール
(20年名古屋優勝。21年大阪国際女子制覇。2時間20分29秒=国内日本人最高)
ど根性フラミンゴ 前田穂南
前田さんは体が細くて手足が長くて、とにかく練習が好きだからずっと走っている。新型コロナウイルスの影響で米アルバカーキでの高地合宿ができなくなり、一時期調子を崩したけど、5月のテスト大会は予定していたタイムを大きく上回りました。体幹がぶれないように動きづくりのエクササイズも取り入れて、プラスに働いているようです。「ど根性フラミンゴ」だから、泥臭い練習をして、条件が悪くなればなるほど力を発揮しますよ。
おとぼけ秀才ランナー 鈴木亜由子
亜由子ちゃんは延期の期間を一番プラスに変えた選手。昨年だったら右太もも裏を肉離れしていたので、走れたか分からない。今は40キロ走を当たり前のように何本も重ねている。高橋昌彦監督が高橋尚子さんや有森裕子さんのコーチをしていた経験があって、小出義雄さんのノウハウを持っているのも強み。都道府県対抗女子駅伝のアンカーでアップ中に迷子になって、タクシーの運転手さんに道を教えてもらうなど抜けているところはあるけど、頭が良くて集中力が人並み外れているんです。「おとぼけ秀才ランナー」は、大事な試合は絶対に外しません。暑さにも強い。
野性のプリンセス 一山麻緒
一山さんは「野性のプリンセス」。コロナ下でも5000メートル、1万メートル、ハーフマラソンで自己ベストを更新して、3人の中で一番スピード持久力が付いているんじゃないかな。6月の40キロ走を見たら、動きがしなやかでダイナミックでお尻が上がっていて、ヒョウのような走りだった。一番勢いがありますね。福士加代子さんという参考書があることも生きている。永山監督も「心技体のバランスがかみ合ってきた」と話していました。
日差しきつい創成川通、七曲がりの北大構内
最初の1周目の7キロぐらいでアップダウンがありますけど、あそこ以外にも細かいアップダウンはあると亜由子ちゃんは話しています。周回コースの一部になっている創成川通の直線は1周目は約4キロ、2、3周目は約3キロも続き、首筋にずっと日光を浴び続けます。こういった人が嫌がるところで動く選手が出てくるかもしれません。
北大構内は右に4回、左に3回カーブします。道幅が狭いので、誰かがスパートしたら追うのは大変ですよね。ポプラが木陰をつくってくれて、20、30、40キロの給水もあるので、いろんな意味で「オアシス」なんです。作戦を考えながら、力をもらえるんじゃないかな。
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