東京五輪で空前のメダルラッシュになるかもしれない。大会終盤の8月5、6日に行われる陸上競歩の日本勢は、金メダルを含めて表彰台を狙える実力者がずらりと名を連ねる。男子20キロは2019年世界選手権(ドーハ)覇者の山西利和(愛知製鋼)が金メダルの最有力候補。同50キロは丸尾知司(同)、日本記録保持者の川野将虎(旭化成)が世界ランキングで上位につけている。女子20キロも世界で戦える実力が備わってきた。
04年アテネ五輪から4大会連続で五輪に出場し、15年世界選手権(北京)の50キロでは五輪を含め日本競歩界初のメダルとなる銅を獲得した谷井孝行さん(38)=自衛隊コーチ=に日本勢の特長やレースの展望を聞いた。(時事通信運動部 青木貴紀)
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◆男子20キロ(主な実績と自己記録)
山西利和(25)=愛知製鋼
(19年世界選手権優勝。1時間17分15秒)
池田向希(23)=旭化成
(19年世界選手権6位。1時間17分25秒)
高橋英輝(28)=富士通
(リオデジャネイロ五輪代表。1時間17分26秒)
レース支配できる山西
3人ともそれぞれ特長が違い、メダルを期待できる。持ち記録に対して戦略も整い、メダルを目指せる状況まで上り詰めてきた。山西は戦略的なレース展開ができる。相手が前にいる時は利用し、自分が引っ張っている時は相手の大力を削りながら、一気にスパートをかけられる強さもある。自らレースを支配できる能力があるのが持ち味だ。
池田はハイペースを持続できる安定感があり、非常に粘れる選手。中盤のペース変化のところで自分の動きやリズムを崩さないでいくことが大事。高橋はラストのスパートは飛び抜けたものがある。そこを生かせるようにしっかり体力を温存して、足を残せているかどうかがカギになる。
海外勢は5月の欧州チーム選手権を制したペルセウス・カールストロム(スウェーデン)、6月の国際グランプリ大会(スペイン・ラコルニャ)で優勝したディエゴ・ガルシア(スペイン)、3月に1時間16分54秒を出した王凱華(中国)らがライバルになってくるだろう。
20キロは細かい変化がありながら段階的にビルドアップしていき、ラストのスピードで勝負が決する。数百メートルごとにペースの上げ下げがあり、1キロや5キロのラップでは見えないペース変動がある。おそらく序盤はそこまで速いペースでは入らず、10キロぐらいで一回ペースが上がるのではないか。
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