「ネコの宿命」とされる腎臓病にタンパク質「AIM」を利用する治療法を研究している宮崎徹氏が設立した一般社団法人「AIM医学研究所」は4日、ゲーム会社のCygames(サイゲームス)から財政支援を受けることを明らかにした。同社は研究の趣旨に賛同し、直接の見返りを求めず「AIM研究に役立てる」ことだけを条件に寄付を行うという。(2022年4月4日掲載)
宮崎氏は3月末に東京大学大学院医学系研究科疾患生命工学センター教授を退任、今月1日に同研究所所長に就任し、人間と動物双方の医療にAIMを活用する研究をスタートさせている。サイゲームスの支援により同研究所が進めるネコの腎臓病薬開発も加速しそうだ。
宮崎氏らはこれまで、東大在任中の研究でAIMが人間の腎臓病、脂肪肝、肝臓がん、真菌性腹膜炎などの病気を改善させるほか、脳梗塞の予後の改善や神経症状軽減にも効果があることを突き止めている。その過程で、多くのネコが苦しむ腎臓病の治療にAIMが期待できることも分かり、治療薬の開発を進めていた。また、ネコの腎臓病薬開発の話題がニュース等で大きく扱われたことで、全国から寄付が3億円近く集まった。
宮崎氏は研究室のスタッフとともに同研究所を設立。同社からの寄付も財源とし、AIMによる人間と動物の疾患治療の研究ができる体制を整えた。宮崎氏は同社の寄付について、「医療や製薬とは全く異なる分野の企業の皆さんが私たちの研究を応援してくださることは、研究を進める上で大きな励みとなります」とコメントしている。
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