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東京五輪男子マラソン、大迫傑らがキプチョゲに挑む 高岡寿成さんが展望

大会最終日の8月8日号砲

 東京五輪のフィナーレを飾れるか―。陸上の男子マラソンは五輪最終日の8月8日に行われる。日本勢は前日本記録(2時間5分29秒)保持者の大迫傑(ナイキ)、2019年9月のマラソングランドチャンピオンシップ(MGC)で優勝した中村匠吾(富士通)、2位の服部勇馬(トヨタ自動車)の3人。低迷期からの脱却に向けて「2段階選抜」、「一発勝負」などの要素を含む新しい選考方式で選ばれた精鋭が、1992年バルセロナ五輪銀メダルの森下広一以来、29年ぶりの表彰台に挑む。元日本記録(2時間6分16秒)保持者でカネボウ監督の高岡寿成さん(50)にコースのポイントや日本選手の強み、展望を聞いた。(時事通信運動部 青木貴紀)

◆日本代表(主な実績と自己記録)

大迫傑(30)=ナイキ
(18年シカゴ3位。19年MGC3位。20年東京4位。2時間5分29秒)

中村匠吾(28)=富士通
(18年ベルリン4位。19年MGC1位。2時間8分16秒)

服部勇馬(27)=トヨタ自動車
(18年福岡国際優勝。19年MGC2位。2時間7分27秒)

 3選手ともMGCというプレッシャーのかかるレースで活躍できているので、勝負強さを持ち合わせています。当然、暑さへの準備も十分できていると思います。この1年、新型コロナウイルスの影響でロードレースがほとんどなかったので、そういった経験を積めなかったのは少し残念ではあります。

100%の力出し切れる 大迫

 大迫君はMGCの時は日本記録を持っていて、非常に強いプレッシャーを感じていたと思う。五輪では海外を転戦してレース経験が抱負であることを踏まえ、彼の良さを出して良い結果を期待したい。トラックで培ってきたスピードもある。自分の体の状態をよく理解でき、準備段階やレース中に正しい力配分の選択ができるので、最終的に100%の力を出し切れる。狙ったところに到達できる力は非常に高いと考えます。

スパート力が魅力 中村

 中村君は勝負どころを見極める能力が非常に優れている選手。MGCで見せたように、彼が持ち合わせているスパート力は魅力です。MGCの時も、少しけがで休んだことで疲労が抜けて好転したと聞いてます。(1月末に左足を痛め)どの程度練習が積めているかが結果を大きく左右します。計画的に準備ができているのなら楽しみな存在だと思います。(駒大時代から師事する)大八木監督は指導経験が長いので、コンディションをうまく調整してくると思っています。

粘り強さピカイチ 服部

 マラソンは粘りがないと成立しないが、服部君の粘り強さはピカイチ。MGCで何度も心が折れそうな場面があっても2位を死守し、諦めない心の強さを感じました。トラックの1万メートルで27分台を連発した地力もマラソンに必ず生きます。マラソンの回数を重ね、マラソン練習の期間が長くなることによってスタミナが養われたと思います。良い準備と体ができ、それが成功に結びついているのが強みだと思いますね。

フラットコース、勝負ポイント少なく

 7月中旬に札幌の本番コースを徒歩と車で下見しました。フラットな部分が多く、坂などキーとなるポイントがあれば勝負を仕掛けやすいですが、それが少ないので、勝負するポイントが非常に分かりにくいコースという印象を受けました。路面は抜群にきれいで走りやすい。

 8キロぐらいで一つ上り坂がありますが、前半だし一度上ってしまえば終わり。その後、東側の創成川通と西側の北大構内で景色が対照的でした。創成川通は道幅が広くて直線が長い。日差しがもろに当たります。元気な時や集団が大きければいいですが、後半一人になってしまうときつい。

 これに対して、西側の北大構内は日陰になっているので、距離的にも短く感じるのではないか。道幅が狭くてカーブが多いが、人数が絞られてくればそれほど苦にならない。むしろ遠心力を含めてスピード感をつかみやすく、勝負どころの一つになる可能性があります。

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