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伊藤美誠が語る金・銀・銅〔五輪・卓球〕

パリの前に目指す世界一

 ―伊藤選手自身は今後、どこをどうしていきたいですか。

 「強さは上がってきたと思いますので、もうちょっとうまさを試合で出せるというか、うまさと強さを持つとか、駆け引きし合って最終的に勝つとか。強さで勝つ時もあるけどやっぱりうまさも大事なんですよ。読みだとか、相手にここでこれを使ってくるかと思わせるとか。そういうところをいつでも試合で出せるように」

 ―多彩なプレーが武器で、それもうまさですが、これから目指すうまさとは、自分のやりたいことだけでは勝つのが難しい時、自分の一番強いところより相手が嫌がること、相手に力を出させないことを選択するとか、そういう意味がありますか。

 「あります、あります。相手に100%の力を出させないことが大事になってくると思います。今の中国人選手や孫選手はそれを私に対してやってくる。孫選手はずっと打たせてきていた。相手に打たせるだけなら誰でもできるんですよ。だから100%の力は出していない。6、7割という感じ」

 ―6、7割というのは力を落とすということでなく、その方が勝つ確率が高いということですね。中国は勝つ確率を厳密に逆算して考えてきます。

 「ミスをしない方を選択したり打たせる方を選択したり。でも選手によって打ちたい選手、攻めたい選手、そっちの方が勝てると思う選手もいる。たぶん基本はみんな攻めると思うんですけど、やりながらきょうは打たせてカウンターやブロックをした方がいいなとか、きょうの自分はどっちがいいとか」

 ―孫穎莎のように相手が打たせてきたときは。

 「普通なら攻め切れるんですけど、孫選手は1本、2本じゃなくて5本、6本と返してくるので、しっかり攻め切ることと、攻めながらもいろんなボールを出すこと。攻めて、攻めていくと同じボールになりやすいので、攻めながらいろんなボールを打ててコースも変えたい。相手の頭がこんがらがるような卓球をしたいです。そういう強さとうまさを持った選手になりたいです」

 ―まだコロナで国際試合もどうなるか分からないですが、次の目標は。

 「まず11月の世界選手権(米ヒューストン)に出られると思って、やろうという気持ちでいます。五輪の方が重要な大会かもしれないですけど、卓球界では世界選手権の方が金メダルを取る確率は本当に難しい。シングルスに(1カ国・地域)5人出られるので(五輪は2人)。世界選手権で優勝することが一番なので。取材ではもうパリ五輪のことを聞かれますけど(笑)」

 ―この銅メダルがあったからだと思えるように。

 「頑張ります」

※取材はオンラインで行った。

(2021.8.17掲載)

(了)

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