独立系ファイナンシャル・プランナーの平下淳氏は、一般社団法人投資信託協会が主催するセミナーで「新社会人、必見!初心者向け確定拠出年金セミナー」と題して講演した。将来のお金に対して漠然とした不安を抱えている人は多いが、税制優遇のある制度と投資信託を使って、若いときから長期・分散・積み立て投資を実践すれば、難しいことをしなくとも、老後に向けた資産形成が可能になる。(時事通信マーケット局)
<セミナーの模様は、YouTubeの「投資信託協会チャンネル」にてご覧いただけます>
◆老後資金2000万円問題
数年前に「老後資金2000万円問題」が話題になった。単純に言うと「老後に2000万円、お金が足りなくなる」という話だ。国の統計で、定年退職して仕事をしていない夫婦世帯の家計を見ると、公的年金に加えて、月額5万5000円程度、貯金や退職金を取り崩して生活している。老後生活を30年として計算すると、公的年金で足りない部分は2000万円弱になる。この数字は平均的に見れば間違っていないが、個人差が大きいことに注意しなければいけない。この「個人差」は、今日のテーマでもある「現役時代の自助努力」のことだ。若いうちから、資産形成を考え、実行することだ。
最近「人生100年時代」という言葉をよく聞く。60歳まで生きた人のうち、85歳まで生存する人の割合は65%だ。90歳まで生きる人は2人に1人、95歳までは4人に1人なので、人生100年時代という表現は、大げさではない。老後が長いことは良いことだが、「そこで使うお金をいかに準備するか」が、極めて重要な問題になっている。
◆今できることは何か?
若い皆さんが今からできることは何だろうか。一つ目は「長く働けるスキルと健康な身体を維持すること」だ。健康管理をしっかりして、万が一、企業が倒産することがあっても困らないように、資格を取ることだ。
二つ目は「時間を味方につけ、資産運用で利回りアップを目指すこと」だ。資産運用について、若いうちに真剣に考えてください。老後資金が必要になるのは30年~40年先のことだ。その間、「何もしないか」あるいは「考えて運用するか」によって、非常に大きな差が生じる。
三つ目は「有利な『制度』を活用し、税引き後の手取り額を増やすこと」だ。制度については「企業型確定拠出年金(DC、ディーシー)」や「個人型確定拠出年金(iDeCo、イデコ)」、「つみたてNISA(少額投資非課税制度、ニーサ)」など、資産形成に適した良い制度がたくさんある。
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