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体感!世界初自動運転『レベル3』 まさにSF世界の乗り物、首都高の渋滞も楽々【けいざい百景】

2021年07月21日12時00分

「前の車ちょっと遅いな」→自動で追い越し

 目的地をセットすると、車が自動で走り連れて行ってくれる―。そんな、どこかのSF映画で見たことがあるような「未来」の一端が感じられるような体験だった。ホンダが開発した自動運転システム「ホンダセンシングエリート」を搭載した高級車「レジェンド」。世界中の自動車メーカー、IT企業を巻き込んで自動運転の開発競争が激化する中、世界で初めて自動運転の「レベル3」が認定された市販車だ。「高速道路などの渋滞のみ」という限定的な条件の下ではあるが、運転手がハンドルを握らず、アクセルやブレーキペダルも踏まず、前を注視していなくても、車が自動で走ってくれる。思った以上に快適だ。以下、基本的に週末しか運転しない素人ドライバーによる試乗体験リポート。(時事通信経済部専任部長 川村豊;記者 平野壮生)

 6月某日、レベル3車両と初めて対面。自動運転を可能にするため高性能なセンサーを計10基、カメラ2基を搭載しているが、外見は一般の乗用車とさほど変わらない。運転席に乗り込んでも、当たり前だが、普通のハンドルが付いている。

 ハンドル内の右側にある「ホンダセンシングエリート」のスイッチを押すと、「渋滞追従機能付アダプティブクルーズコントロール(ACC)」と「車線維持支援システム(LKAS)」が作動。この状態で一般道から首都高速へ入る。まずは、ACCが働き、前方車両に応じ加減速しながら、設定速度での走行が始まった。アクセルペダルから足を離す。

 しばらくするとLKASが車線を読み取り、「ハンズオフ機能付車線内運転支援機能」が作動した。通知音とともにハンドルのLEDやディスプレーに表示される車線が青色に点灯。ハンズオフ、つまり今度は同一車線ならハンドル操作をしなくても走行が可能になった。ハンドルからも手を離した。

 しっかりと前方に注意する必要はあるが、この時点で、両手両足が運転操作から解放された。前方の車両が減速すれば併せて減速するし、カーブも滑らか。前を見ておきさえすれば、両手をハンドル上に置く必要もない。シートに座っているだけで高速道を走る感覚は新鮮だ。

 だが、真骨頂はここから。まずは車線変更。ハンズオフ状態で走行中に「高度車線変更支援機能」のスイッチを入れておくと、自動で前方車両を追い越し、再び元の車線に戻ることができるようになるという。

 首都高を東京湾側から北に向かい『手放し運転』で走行車線を走っていると、前の車との車間距離が詰まってきた。すると、システムが追い越し車線の車の流れを読み込み始め、自動でウインカーを点滅させながら、車内に「右車線を確認してください。車線変更します」とのアナウンス。追い越し車線の車が途切れると、そのまま何も操作することなくハンドルがゆっくりと右に切れ、追い越し車線で先行車を追い抜いていた。

 走行車線に戻る時も同様。一連の動作はスムーズで、「慎重な判断をするなあ」とは感じたものの、運転手として「危ない」と感じることはなかった。テスラなど、他の自動車メーカーの自動運転機能でもウインカーを手動で操作するだけで車線変更できるが、腕組みしたまま、追い越しが完了するのは「レジェンド」が初めて。自動運転の定義上は「レベル2」の機能ながら、「これぞ自動運転の世界」。そう感じた。

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