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山県亮太の日本新記録「9秒95」を支えた「防風シャッター」「日本新請負人スターター」

五輪と同じ高速トラック

 6日に鳥取市で行われた陸上の布勢スプリント男子100メートル決勝で、山県亮太(セイコー)が9秒95の日本新記録を樹立した。会場のヤマタスポーツパーク陸上競技場は高速トラックを備え、日本屈指の好記録が出る競技場として知られる。100メートルのスタート位置後方には「防風シャッター」を備え、公認範囲内の絶妙な追い風となるように風速を調整できる。スターターは過去にも日本記録が出たレースで号砲を鳴らしたベテランが務め、山県の快挙をアシストした。(時事通信運動部 青木貴紀)

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 陸上競技場は1984年に完成。トラックの舗装材は、近年の五輪や世界選手権で採用されているイタリア・モンド社製の「スーパーX」を使用している。東京五輪の会場となる国立競技場と同じ反発力の高い素材で、「高速トラック」と評価されている。

日本海方面からの強風を調整

 鳥取陸上競技協会の国森敬章副会長によると、この競技場のホームストレートには約4キロ北側の日本海から強い浜風が吹き込み、100メートルなどの短距離種目は以前、追い風2.0メートルを超えて参考記録になることが多かった。そのため、2004年にこの会場でアテネ五輪代表選考会を兼ねた日本選手権が開催される前に、高さ約12メートルのフェンスを設置。フェンス下側のシャッターを開閉することで、風速を調整できるようにした。

 シャッターはちょうど冬場にリニューアルしたばかり。レース当日は、国森副会長がホームストレート脇に置かれた吹き流しを確認し、「風が強かったので、常にシャッターを閉めっぱなしにした」。男子100メートル決勝は公認記録の上限となる追い風2.0メートル。「公認であってくれ」と願っていた山県は「絶好のコンディションで、記録を出すにはうってつけの条件だった。スピードか風か分からないけど、最後は脚の回転が追いつかなくなるような感覚があった」と語った。

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