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魚食に回復の兆しが 追い風はコロナ? 文化論や「甲子園」 大学生・高校生にも高まりつつある関心

魚食文化学ぶ講座が人気

 サンマやサケをはじめ、日本の魚の水揚げが低調な中で、水産関係者が長年気に掛けているのが魚消費の低迷。若者を中心とした「魚離れ」が指摘されて久しいが、近年、教育現場での取り組みや新型コロナウイルスの影響による巣ごもり需要もあって、「魚食回復」への兆しが見え始めている。(時事通信水産部長 川本大吾)

 水産庁によると、国民1人当たりの魚介類消費量は、2019年度が23.8キロで、ピークとなった01年度(40.2キロ)に比べ4割減少。今から10年ほど前には肉の消費量を下回り、その差は開く一方。特に「若い世代ほど魚の摂取量が少ない」(同庁)といい、食の多様化や魚調理の手間などが、魚離れの要因とされる。

 若者への魚食普及が求められる中、東京海洋大学(東京都港区)は、2017年度に「魚食文化論」の講座を開講した。和食の代表格となっている魚食だが、その歴史や地域ごとの食材、調理法などを学ぶ講座は、全国でも例がないという。

 講座は、魚食に関するさまざまな知識を学ぶと同時に、調理体験も盛り込み、学生らが魚さばきや調理にチャレンジ。学内では「魚を下ろせる学生が3割くらいしかいないが、興味を持って調理を楽しんでいる」(婁小波教授)といい、人気の講座となっている。

◇地元食材で競う食の甲子園

 一方、全国各地の高校生らが地元の食材を生かした料理を考案し、出来栄えなどを競い合う「ご当地!絶品うまいもん甲子園」が今年10回目の大会を迎える。年1回開催されるこの大会は、3人1組で同一校から複数グループの参加も可能。教員が調理レシピ作りの相談に乗ったり、調理室を開放するなど、高校側の後押しもあって、大会の規模は徐々に拡大している。

 応募は郵送で7月11日が締め切り(当日消印有効)。11月下旬に東京で決勝大会が行われる予定。これまで入賞作品の中には魚介類を使った料理が多く、コンビニやスーパーで商品化されるなど、人気商品が多く出ている。出場をきっかけに、和食の料理人になった例もあったという。

 大会を主催する一般社団法人「全国食の甲子園協会」の藤田志穂会長は、「去年は新型コロナの影響で消費が鈍った愛媛県のタイなど、地元の名産を使った料理での応募が目立った。今年も感染対策を徹底し、できるだけ多くの高校生たちに参加しもらいたい」と話している。

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