会員限定記事会員限定記事

五輪に頼らず「Wow!」を力に 女子ソフト新リーグ

危機感の共有、現実の直視

 ―各選手のストーリーを知ってもらうことも、地域で応援してもらうきっかけになります。

 「いろんな意味の『Wow!』を選手やスポンサーと創出できたらいいと思いますし、球場へ来てもらうだけでなく、選手にもっと外へ出ていってほしいと。これまでも各チームでやっていますが、幸い選手からもアイディアがたくさん寄せられています。先日、(Jリーグ初代チェアマンの)川淵三郎さんにあいさつにうかがった時も、地域との連携の大切さを強く言われました」

 ―日本のスポーツ界では、地域密着と言えばJリーグでした。川淵さんとは他にどんな話を。

 「東京にチームがない、東京であまり試合がないので、世界一のリーグを目指すならそこは視野に入れた方がいいと。Jリーグも初めはそうで、世界から言われたそうです。将来的にはそこも考えていきたいとお話しました。それから、島田さん、強引にやっていいよ、とも。なかなか川淵さんのように強引にはできませんと言いましたが(笑)」

 ―「強引に」とは最初にあった「危機感」と関連します。三宅豊会長はじめソフトボール界の人たちと共有する「危機感」とは。

 「やはり東京五輪の後のことです。24年パリ五輪はまた外れてしまうけれど、日の丸の力は大きい。競技人口を増やすうえで影響はかなり大きいだろうと、すごく危惧している。その点でも、新リーグを盛り上げて選手たちを輝かせ、五輪に頼らなくても、子どもたちがあのリーグでやりたいと思ってくれるリーグをつくりたいと。そういう思いを共有できた。ソフトボールは(08年)北京五輪の後で外れた経験をしているので、危機感は大きいんだと思います」

 ―今はコロナ禍で悪者になっていますが、日本人は世界有数の五輪好きですから。でも世界では、五輪に頼らない道を探り始めた競技もあります。時間はかかりますが。

 「逆にチャンスだと思っています。難しいかもしれないですが、五輪から外れないように頑張るのではなく、現実にもう外れてしまうので、思い切りかじを切らなきゃいけない。もちろん個人的な本心では、将来的には五輪に戻りたい気持ちはありますが、今は頼らずに行かなきゃいけない、行くしかない」

 ■新リーグの組織 2006年に設立した日本女子ソフトボールリーグ機構をこのほど一般社団法人化し、新体制へ移行。三宅豊日本ソフトボール協会会長を代表理事兼会長とし、島田利正代表理事兼チェアマン、宇津木妙子副会長兼キャプテンを中心に、理事にはソフトボール関係者とともに野球解説者の古田敦也さん、弁護士の菊間千乃さんらが就任した。

新着

会員限定

ページの先頭へ
時事通信の商品・サービス ラインナップ