アフリカ諸国でも、新型コロナウイルス感染拡大と、厳しい対策による経済への打撃は深刻だ。堅調な経済成長を続けてきたケニアでも市民生活に多大な影響が出ている。こうした中、ケニアの首都ナイロビを中心に、コロナ禍における就業支援を行う現地のNGOの取り組みをオンラインで取材した。
米国のオンラインジョブプラットフォームを活用した就業支援
ナイロビのスラムの一つ、カンゲミ地区の公共施設「カンゲミ・ソーシャル・ホール」では、このところ毎日のように若者らが通う姿が見られる。彼らの目的はITスキルに特化した職業訓練だ。主催者はナイロビに拠点を置くNGO「プログレッシブ・コミュニティーズ」で、コロナ禍により失業した人、大学閉鎖により働かざるを得なくなった学生などを対象に、2020年6月からこのプログラムを開始した。
米企業「リモータスクス」が運営するオンラインジョブプラットフォームを通して、アウトソーシング案件を受注するために必要な知識と技術を学ぶ実践的な内容で、研修後すぐに収入が得られるようになる人が多いという。現在、同地区と、ナイロビ近郊のマチャコス県の2カ所で研修が続けられている。
研修後、リモータスクスで仕事を受注して5カ月になるクリス・マテカさん(27)は、「1カ月の収入が2万2000ケニア・シリング(約200米ドル、約2万2000円)ほどで、社会人経験の中で最も高額です。家族も養えるし、ケニアにいながらこれほどの金額を得られるとは思っていませんでした」と語る。
ジェニファー・ムティシャさん(36)はコンピューターサイエンスの専門家だが、コロナ禍で20年5月に失業。今はリモータスクスの案件で、最低でも毎月250米ドル(約2万7500円)は稼いでいる。生活には十分だが、高性能のパソコンがあればさらに高額案件を受注できるという。3歳の娘を育てる彼女は、子育てと仕事を両立しやすいこの働き方を「これからのニューノーマルね!」と評価する。
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