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五輪コロナ対策ルール、これだけの疑問

むなしいバッハ会長の自賛

 東京五輪・パラリンピックに対する逆風が止まらない中、大会組織委員会、国際オリンピック委員会(IOC)などは4月28日の5者会談で新型コロナウイルス対策のルール集「プレーブック」第2版に合意した。トーマス・バッハIOC会長は「日本の国民にも安心してもらえる」と胸を張ったが、その内容は随所に実効性への疑問や準備の遅れに対する懸念、説明不足が感じられるものだった。

  ◇  ◇  ◇

 プレーブックは選手・役員用、国際競技団体用、報道用などがあり、2月に第1版が作られている。第2版が合意された5者会談の後には選手・役員向け用に関する組織委、IOCによる説明記者会見が開かれた。

 ◇各国コロナ責任者、これから任命

 プレーブックでは各国・地域のオリンピック委員会(NOC)・パラリンピック委員会(NPC)がコロナ対策責任者 (CLO)を置くことになっているが、第2版には「まもなく任命され、トレーニングを受ける」と書かれている。

 CLOとは「コロナに関連する全ての事項について重要な窓口となり、IOC・IPC(国際パラリンピック委員会)、組織委、日本の保健当局との窓口にもなる。プレーブックにみんなが従うことを確実にする責任がある」とされる。

 入国前には選手らの誓約書、活動計画書、健康管理実施状況の確認などを取りまとめる。入国後、選手団から陽性者が出れば、行動履歴や濃厚接触者を調べ、保健当局や組織委と連携して対策を決める。対応次第ではその後の感染拡大リスクや競技の公平性に関わる。まさに対策の成否を左右する立場だ。

 CLOの配置は、第1版から書かれていた。その任命がこれから。すでにNOC・NPCのチームドクターなどを任命し、準備が進んでいるところもあるが、国・地域による水準や習熟度の差、大規模選手団でこの問題に関わる人員や情報伝達といった課題に、この短期間でどう取り組むか。CLOの業務をサポートするシステムのリリースも5月末だという。

 ◇マスクは自前で調達

 マスクは選手団や参加者個人が用意する。布製を使う場合は2重、3重にすることや材質まで指定。1日1回は洗い、世界保健機関(WHO)のガイドラインを守るよう指示している。マスクの自己調達は当然との見方もあるが、コロナ禍の国際大会を経験した競技団体の役員は言う。

 「国によって公衆衛生の感覚が違うし、薄いマスクや鼻出しも目立つ。材質とか毎日洗うとか、みんなが守るとは思えない。コンドームを配るくらいなら、使い捨ての公式マスクを作って潤沢に配ればいい」

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