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「大麻売買合法化」でグアムは復活できるのか

グアムは「楽園」であり続けられるか

 ここで考えなければならないのは、日本にとってグアムでの大麻売買合法化がどのような意味を持つかだ。米国で大麻使用を合法化する州が増えているとは言っても、ニューヨーク州とグアムでは日本に与えるインパクトはまったく違う。グアムは成田や関西などの日本の主要空港から約3時間半しかかからず、運賃も日本と米本土を往復するのに比べれば格段に安いからだ。

 今後、グアムで大麻売買が合法化されれば、観光客が簡単に大麻にアクセスできる環境になる可能性が高い。しかし、日本の大麻取締法で日本人が国内外を問わず大麻の売買や譲渡譲受、所持することは刑罰の対象とされている。そして、グアムから大麻を持ち出そうとすれば米連邦法にも触れ、空港で摘発の対象になる。また、それを逃れて日本へ密輸する形での持ち込みを図れば、日本の法律に基づいて厳しい処罰を受けることになる。そうした状況になったとき、日本人にとってグアムが「楽園」と言える場所であり続けることができるのか…。それは現時点で、まったく分からない。

 陣内真佐子(じんない まさこ) 文筆家。1996年3月より家族とともにグアムに移住。グアム大学で3年半の学び直し生活を送った後、2000年にグリーンカード(米国永住権)を取得しグアム政府観光局などに勤務。10年に取得したグアム政府公認ガイドの知識を生かし、15年から国内最大手の旅行情報誌のグアム特派員としてブログ活動や各種雑誌やウェブ記事の執筆や翻訳を手掛けている。海外書き人クラブ会員。

(2021年4月2日掲載)

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