会員限定記事会員限定記事

「大麻売買合法化」でグアムは復活できるのか

大麻に対する日米の意識に大きな格差

 「大麻売買合法化」という言葉を聞くと、日本に住む人の多くは、そこが無法地帯になるかのような印象を持つかもしれない。だが、米国では今、嗜好用大麻の使用や売買を解禁する動きが広がっている。

 18年1月時点で嗜好用大麻を合法化していたのは、カリフォルニア、コロラド、ネバダなど6州と首都ワシントン(州には属さない連邦政府直轄地)だけだったが、それ以降、8州が合法化した。さらに今年3月にはニューヨーク州のクオモ知事と州議会が、嗜好用大麻の合法化で合意。同州の場合、コロナ禍による経済の低迷の中、大麻ビジネスに対する課税で年間3億5000万ドル(367億5000万円)の税収確保と最大6万人の雇用確保を期待しているというから、事情はグアムとほぼ同じと言っていいだろう。

 その背景には、米国人が大麻の毒性や依存症になる可能性について、覚せい剤やコカインなどの違法薬物と比較して、かなり低いと考えているという実態がある。合法化している州の多くは、対象を21歳以上の成人に限定し、大麻の影響下で自動車の運転を禁じるなど、アルコールと同レベルの規制にとどめており、米国での大麻に対する一般的な認識をうかがい知ることができる。

 日本では、1948年に施行された大麻取締法で栽培、所持、譲渡が厳しく規制され、都道府県知事の免許がある者だけが産業用もしくは研究用の大麻草を取り扱うことが許されている。同法により、無許可での栽培は7年以下の懲役、違法な所持は5年以下の懲役が科される。さらに、大麻から製造された医薬品の使用は、全面的に禁止されている。

 薬物の規制を所管する厚生労働省は、大麻の使用がより毒性や依存性の強い違法薬物にのめり込むきっかけとなるゲートウエー(入り口)ドラッグになると指摘。大麻を含む違法薬物に近づくことに、「ダメ、ゼッタイ」というキャッチコピーで強い警告を発し、司法機関が協力して海外からの持ち込みも含め、摘発に力を入れている点は、米国の事情と大きな格差がある。

新着

会員限定

ページの先頭へ
時事通信の商品・サービス ラインナップ