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競馬史を塗り替える希少な白毛馬 美しさと強さのアイドルホース・ソダシ

桜花賞V、初のクラシック制覇

 緑のターフに真っ白な馬体が映えた―。4月11日に阪神競馬場で行われた中央競馬の3歳牝馬3冠レース第1戦の第81回桜花賞(GⅠ)。単勝2番人気のソダシがデビューから無傷の5連勝で優勝し、白毛馬として初めてクラシック制覇を果たした。母から受け継いだ毛色は、中央競馬の現役馬約8600頭のうち7頭という希少な存在。美しさと強さを兼ね備えたアイドルホースが、競馬史を塗り替える快進撃を続けている。(時事通信大阪支社編集部 西村卓真)

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 迷いはなかった。ソダシは道中、落ち着いて内側の好位置で先行馬を追走し、迎えた最後の直線。残り200メートル付近で先頭に躍り出た。「何とか我慢してくれ」。手綱を取った吉田隼人(よしだ・はやと)騎手の思いに応えるように、外から猛然と追い上げた1番人気のサトノレイナスを首差で振り切った。

馬場の懸念を吹き飛ばすコース新

 優勝タイムは1分31秒1。従来の阪神芝1600メートルのコースレコードを0秒8も更新した。レース当日は快晴で、芝コースでは速いタイムの決着が相次いだ。ソダシの血統はスピードよりパワーが求められるダート向き。吉田隼はレース前に「ちょっと分が悪いかな」と口にしていたが、取り越し苦労に過ぎなかった。

 昨年12月の阪神ジュベナイルフィリーズ(JF)で白毛馬として初のGⅠ制覇を遂げた。そこから中118日。歴代最長ブランクで桜花賞を制し、史上8頭目となる無敗の「桜の女王」に。須貝尚介(すがい・なおすけ)調教師は「すごいことをやっちゃった。桜花賞の日に桜は散ってしまったが、阪神のターフに真っ白な花を咲かせることができた」と感慨深げ。目には光るものがあった。

懐疑的な声を「見返してやろう」

 不安もあった。阪神JFでは枠入りを嫌がったため、今回は出走馬18頭の中で最初に入った。だが、これまでの練習が実を結び、待たされたゲート内でも「雰囲気は良かった。練習をしていたので信頼関係ができていた」と吉田隼。スタートも決まり、好位置の確保につながった。サラブレッドの中で最も希少な毛色として注目される一方、「本当に強いのか」と懐疑的な見方もあった。「何とか見返してやろう」。吉田隼は反骨心を胸に、騎手デビュー18年目でクラシックレース初制覇を達成した。

 ソダシのデビューからコンビを組む吉田隼は苦労人でもある。日本中央競馬会(JRA)の最高勝率騎手に4度輝いている川田将雅(かわだ・ゆうが)とは競馬学校の同期生。若手の頃は騎乗馬に恵まれず差をつけられたが、昨年は5年ぶりとなるJRAのGⅠ通算2勝目を挙げるなど、重賞で自己最高成績の年間6勝をマークした。「頑張っていれば良い馬に巡り会える。諦めないでやってきてよかった」

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