ワクチンをめぐって右往左往?
「2回目の方が副反応強いって言いますよね」「まあ、人によるんじゃないですか?」「健康な人の方が強いとも」「うーんなんとも言えませんねえ。では深呼吸して、息を止めてください…。はい、終わりました」
拍子抜けするくらいあっという間に、モデルナ製新型コロナウイルスワクチン2回目の接種が終わった。場所は筆者がいつも通う大型クリニックの隣の小さな建物。以前はステーキレストランであったが、今ではクリニックの「分院」のような機能を果たしている。中は受付のある大部屋、接種する小部屋が七つ八つ、終わってから副反応に備えて15分間待機する大部屋と分かれているが、正直、ややみすぼらしい。
筆者が新型コロナワクチン接種を受けたのは3月2日と31日。4月7日現在、米国に住む18歳以上のうち、1回目のワクチンを受けた割合は42%、2回目も終わっている割合は24%である。以下は、米国におけるワクチン接種状況のリポートである。
米国におけるワクチン接種は、連邦政府から一定数の割り当てを受けた州政府が実際のオペレーションを行う。連邦の基準をもとに州ごとの基準を作り、接種対象をグループ分けし、接種を受ける資格がある人たちは病院や薬局に電話をして登録、接種が可能になったら電話がかかってきて予約をする、というのが基本的な流れになっている。ワクチンの接種場所はクリニックや薬局のほかに、大学や教会などのこともあり、この場合は大学のフットボールスタジアムや礼拝堂で、多数の対象者が何十人という看護師から接種を受ける。こうした会場でも、事前の予約は必須だ。
米国で医療従事者を対象にワクチン接種が行われるようになったのは昨年の12月中旬である。まだワクチンの供給が少なかった今年1月の時点では、接種対象ではない人たちがワクチンを求めて大騒ぎする様子がニュースになっていた。州によって接種資格やキャンセル待ちの状況が異なるので、接種を急ぐ人の中には、10時間以上車を運転して他州に出掛け、ホテルに滞在してキャンセル待ちをし、やっとワクチンを接種できた人もいれば、キャンセルによる余剰ワクチンの接種を求めてクリニックの入り口に徹夜で並ぶ人々もいたようだ。キャンセル待ちのリストに載ればそのうち予約が取れると分かっていても、どのクリニックや薬局のリストに載るかどうかはその施設の事情次第、下手をすれば受付次第なので、電話をかけまくって複数のリストに名前を載せた人も多かったという。この頃のワクチン争奪戦は、まさに「狂騒曲」であった。
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