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南田裕介の「鉄印帳」片手に ホリプロ・マネジャーが薦める第三セクター鉄道の旅【第1回・北越急行ほくほく線】

競争力5倍の特別列車

 北越急行の南田的な注目ポイント。それは斬新な企画ツアーをいくつも開催しているところ。中でも鉄旅オブザイヤー2019・グランプリを獲得した、「ナイトタートル ~夜のトンネル探検~」ツアーは圧巻でした。

 もともと速達列車を走らせると言う運命で誕生した北越急行。高速で走っていた特急列車「はくたか」の車両は「スノーラビット」と呼ばれていました。「はくたか」が走らなくなって、誕生させたイベント列車は超低速で走る「スノータートル」でした。まさに“うさぎ&カメ”ですよね。この超低速列車がとても人気で数多くのお客さんが参加したのですが、さらに進化させたのが「ナイトタートル ~夜のトンネル探検~」です。真夜中のツアーというだけでもハードルが高いのに、普段立ち入ることが絶対にできないトンネルの中に立ち入れたり、使われなくなった変電所に潜入したり、それを朝まで行うというある種の“クレイジー”なツアー。しかしこれは競争率5倍を超える申し込みがあったそうです。

 北陸新幹線が開業して特急はくたかが走らなくなった現在、新たな取り組みを考えなくてはいけなくなった北越急行。はくたかとは真逆な超低速列車を走らせるという逆転の発想がとても素晴らしく、胸を打ちました。次回以降どんなツアーが飛び出すか今から楽しみでなりません。

 北越急行の鉄印スポットは十日町駅。鉄印帳にじかに書き込むスタイル。梵字(ぼんじ)で「ほくほく」と書かれています。御朱印ではしばしば目にする梵字。社長のアイデアだそうです。職員の方は何度も練習をされたそうで、美しいですね。

 最後になりましたが、やっぱり新潟の新米は絶品ですし、そこで作られる日本酒も格別と聞きます。また沿線には日本三大薬湯のひとつ松之山温泉(十日町市)もあり、今度行く時はゆっくり温泉に漬かっておいしいご飯やお酒をいただきたいですね。

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南田 裕介(みなみだ・ゆうすけ)1974年生まれ、奈良県出身。静岡大学卒業後、ホリプロ入社。タレントやアナウンサーのマネジャーをする傍ら、膨大な鉄道関連知識を生かし、「タモリ倶楽部」(テレビ朝日系)や「鉄道発見伝 鉄兄ちゃん藤田大介アナが行く!」(CS日テレ)など数多くのテレビ番組に自ら出演するほか、イベントへの参加や関連本の執筆などを手掛けている。(2021年5月11日掲載)

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