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南田裕介の「鉄印帳」片手に ホリプロ・マネジャーが薦める第三セクター鉄道の旅【第1回・北越急行ほくほく線】

車内でプラネタリウム?

 使用されている車両はHK100形。HKは北越急行の略ですね。この電車はとても優秀で、加速がものすごく良く、高速でも運行ができる性能を持っています。なぜなら特急「はくたか」が往来していた頃は、160キロ運転の合間を縫って各駅に停車をしなくてはいけなかった。特急の合間に次の駅まで行き特急を退避する。加速がよくなければ特急列車の速度に響いてしまう、そうすると速達性に影響が出てしまいます。なので普通列車にも高性能の電車が導入されたのです。このHK100形の中には、「ゆめぞら号」という車両があります。この車両は北越急行の特徴である長いトンネルに入ると、プラネタリウムのように車内が消灯され天井に映像が映し出されるシステムが搭載されています。トンネルが多くて車窓を楽しめないことを逆手にとった、ほくほく線ならではの取り組みです。現在も日曜日を中心に運行されており、時刻表にも表記されています。詳しくはホームページをご確認ください。

 あと特徴的なのは駅ですね。特に無人駅が多いこと。あらかじめ無人駅前提で作られてるからか、寂しさはあまり感じられません。道の駅・まつだいふるさと会館と一緒になっているまつだい駅(十日町市)だったり、まるで宇宙船のような駅舎のくびき駅(上越市)だったり、いろんな性格の駅があるのが面白いですね。

 忘れてはならいない駅なのが、珍しいトンネルの中の駅、美佐島駅(十日町市)です。トンネルの中に駅があるのは日本で数駅しかなくとても珍しいものです。

 トンネル内を高速で列車が走行すると強風が発生するため、ホームに出られるのは列車がやってくる時のみ。それまでは鉄の分厚い扉で遮られています。地下のトンネルにホームがあるので、地上には駅があっても線路が見えない不思議な駅ですね。

 4月27日にオンエアされたCS日テレの「鉄道発見伝」で私がホームに出て通過列車を体験する様子が放送されました。特別にご許可をいただき安全対策はばっちりさせていただきましたのでご安心を(笑)。

 列車はさすが新潟、田園地帯の中をひた走ります。ひときわ目を引くのは十日町・まつだいエリア。カラフルで珍しいオブジェが目を引きます。十日町市・津南町からなる越後妻有地域では世界最大級の野外国際芸術祭「大地の芸術祭」が3年に1度開催されており、普段でも草間彌生さんなど世界中から参加された有名アーティスト達の作品が里山の中に展示されているのです。十日町駅から徒歩10分の越後妻有里山現代美術館(十日町市)にも印象的な作品がいくつも展示されています。隣の道の駅・クロステン十日町ではお土産も買うことができ、ぜひ訪れてみてほしいスポットです。

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