会員限定記事会員限定記事

ご存じですか「フェムテック」 女性だけの問題じゃない理由

本物の「女性が輝く社会」をつくるために

 「年間4911億円」―これは、日本における女性の月経や月経前症候群(PMS)などによる1年あたりの労働損失額です。

 そういった生理・妊娠・更年期など女性特有の悩みをテクノロジーなどで解決することを目指しているのが、注目を集める「フェムテック」という分野。米国を中心とした市場規模は2025年までに5兆円規模になるという予測もあり、フェムテック関連企業もわずか3年で9倍以上に増えるなど目覚ましい躍進ぶりです。最近では国内でも自民党の議員連盟がフェムテック製品普及に向けた提言を関係省庁に提出したというニュースが話題を集めました。

 私はこれまでひとりの母親、そして働く女性としてフェムテックの取材を続けてきましたが、単に女性の健康課題を解決してくれる新たな製品やサービスが増えるということにとどまらず、フェムテックが提供する価値は、社会全体をより良い方向に導いてくれるものだと感じています。

 日本国内でこの分野をけん引されている女性へのインタビューなどを通して、今、女性に限らず私たちみんながフェムテックに注目したい理由をお伝えしていきます。(ライター・佐々木はる菜)

「月経カップ」との出会いで、悩ましい期間が快適に変化

 フェムテックというと、例えば月経を管理するアプリ、母親と胎児の心動や子宮の動きを計測する「陣痛トラッカー」などITテクノロジー関連のものが取り上げられることが多いですが、私の中でまず浮かぶのが「月経カップ」と「吸水ショーツ」です。

 私自身がフェムテック分野について取材をするようになった大きなきっかけは、18年に女性誌系サイトの連載コラムで初の国産月経カップ「ROSE CUP」についての体験記事を書いたことでした。月経カップとは、膣(ちつ)内にシリコン製のカップを挿入して経血をため、一定時間をおいて捨てて使い、カップ自体は繰り返し使用することができるアイテムです。

 当時、生理中の長時間にわたる取材や、小さな子ども2人との入浴時などに不自由を感じている中でその使い心地に感動!、新たな選択肢のひとつとして是非伝えたいと考え、実際大きな反響をいただきました。

従来の生理用品が不要、はくだけでOKの「吸水ショーツ」

 昨年20年は日本の「フェムテック元年」、そしてその火付け役となったといわれている存在が「吸水ショーツ」です。下着そのものが水分を吸収するショーツで、現在では各社からさまざまな製品が販売されています。

 その中で私自身も愛用しているのが「ベア シグネチャー ショーツ」です。発売当初、先行予約販売を行ったクラウドファンディングサイトでは、公開から終了までの45日間で計9062人から約1億240万円の支援を集め、発売から8カ月で約4万枚を売り上げています。

 医療従事者やスポーツ選手など自分のタイミングで生理用品の交換を行うことが難しい方々や、知的障がいを抱える女の子を育てる保護者の方など、企業側が想定していた以上に幅広い層からたくさんの喜びの声が寄せられたといい、集まった要望の声やクラウドファンデイングの支援をもとに、医療施設などへの現品寄贈やジュニアラインの販売も開始するなど、今もさまざまな形で話題を集めています。

暮らし バックナンバー

新着

会員限定

ページの先頭へ
時事通信の商品・サービス ラインナップ