女子ソフトボールの東京五輪代表選手15人が発表された。日本オリンピック委員会(JOC)の承認手続きを経て正式代表となる。2008年北京五輪に続く金メダルを目指す日本は、投打ともにパワーと技を兼ね備えた宿敵米国をどう倒すのか。異例の捕手3人体制に象徴される宇津木麗華監督の選手選考から、可能性と背景を考える。
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代表は候補19(投手6、野手13)人から選んだ。投手は3人。上野由岐子、藤田倭(ともにビックカメラ高崎)に次いでチーム最年少、20歳の後藤希友(トヨタ自動車)が入った。
ソフトボールは野球に比べて連投がきく。東京五輪は決勝トーナメントに敗者復活のある独特のページシステムが採用されないため、ダブルヘッダーの可能性もない。宇津木監督はかねて「本来、投手は2人でいい」と言っていた。
それでも夏場の連戦や将来へ向けた経験を考えて3人にした。五輪が延期にならなければ昨年の今頃に発表する予定だったメンバーでも、投手は3人だったが、考えていたのは別の投手。この1年の成長度や上野、藤田と違う左腕であること、球速、制球力、守備力を評価して後藤にしたという。1次リーグでの1イニングやワンポイントの起用を想定する。
目を引いたのは捕手。候補選手3人をそのまま選んだ。捕手3人体制は日本の五輪で初めて。世界でもまれだ。
正捕手は宇津木監督と捕手出身の山路典子コーチが4年間、鍛えてきた我妻悠香(ビックカメラ高崎)。「性格が温厚で優しいので、投手から見れば投げやすくて、彼女に任せるなら何も言わないというところがある」(宇津木監督)。こつこつと上野、藤田とコンビを築いてきた。
そこへ清原奈侑(日立)と峰幸代(トヨタ自動車)が加わる。清原は「多彩な発想力」(宇津木監督)が持ち味で、昨季の日本リーグでも、場面に応じて若手投手の良さを生かすリードと斬新な配球を使い分けた。タイプが異なる存在は我妻の刺激になり、流れを変える起用も期待できる。
峰は北京五輪で上野と組んだベテラン。宇津木監督は「五輪の現場で金メダルに貢献した。それは私にない経験だから」と話す。トヨタ自動車で長年コンビを組んできた米国のエース、モニカ・アボットへの無言のけん制にもなるかもしれない
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