新型コロナの影響で延期になった東京五輪・パラリンピック。組織委員会の会長を務めていた森喜朗氏の失言による辞任など紆余(うよ)曲折もあったが、2021年2月24日現在では、同年7月23日から8月8日に日程を延期して開催する予定になっている。
新型コロナウイルスも世界各国でワクチンの接種が開始されたとはいえ、まだまだ終息に向かっているとは言えない状況の中、日本政府も組織委も、今のところ開催する姿勢を崩していない。もっとも、日本政府や組織委、さらに国際オリンピック委員会(IOC)が「やる」と言っても、世界各国が選手団を派遣しなければ話にならない。
果たして海外では、東京五輪・パラリンピックの開催に対して肯定的なのか否定的なのか。そしてそれらの理由は?
私が主宰する海外在住日本人ライターたちの集まり「海外書き人クラブ」のメンバーにアンケートを取り、世界各国に住む人たちは開催に対してどう考えているのか探ってみた。アンケートの実施は21年1月中旬、回答は22の国と地域の29人からあった。
「開催は困難」と考える人が大半
まずは開催の可能性について聞いてみた。
【問】21年7月からの東京五輪・パラリンピックは開催可能だと思いますか?(一つだけ選択)
a)おそらく開催できる:7%
b)開催できる可能性が高い:3%
c)五分五分:10%
d)開催できる可能性は低い:31%
e)おそらく開催できない:45%
f)分からない:3%
かなり極端な結果が出た。約8割の人が否定的に考え、肯定的な人は約1割だった。
ではまず少数派の肯定派の人たちの意見を聞いてみよう。
【問】「開催できる」と答えた理由はなんですか?(複数回答可。「開催できる」と答えた人の総数に対する割合)
a)開催までには、新型コロナは世界的に見てほぼ終息していると思うから:0%
b)全世界ではないが選手数が多い主要国ではほぼ終息していると思うから:33%
c)ワクチンの接種が進むか、安価な特効薬ができていると思うから:33%
d)その他:33%
この回答に関するコメントではワクチンに期待する人が多かった。
「季節的に暖かくなること、ワクチンと効果の高い薬の普及により、昨年に比べて、無観客試合も含めた形で開催が可能ではないかと思う」(香港在住 初田宗久)
「終息するにはまだ時間がかかると思うが、開催を前提として計画が進んでいるとすれば、日本政府が費用負担で参加選手のワクチン接種義務付けなど、無観客開催など考えられるかもしれない」(米サンフランシスコ在住 ミホック)
「日本人の多くが開催したくないと考えていても、政権トップにいる閣僚などには民意が伝わらないことから考えると、五輪は強行することが予想される」(グアム在住 陣内真佐子)
ちなみに、21年2月19日に公表された時事通信社の世論調査によると、東京五輪・パラリンピック開催の是非は、反対(58.4%)が過半数を占め、賛成は28.5%にとどまった。反対理由(複数回答)は「新型コロナが収まりそうにない」(67.9%)、「感染対策を講じても完全には防げない」(67.0%)などが多く、賛成理由(同)は「選手のため」(63.4%)などだった(調査は全国の18歳以上の男女2000人を対象に個別面接方式で実施。有効回収率は61.9%)。
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