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西岡良仁、新エースへのステップに 男子テニス、世界30位以内を目指す

「ナンバー2」に成長

 男子テニスで西岡良仁(25)=ミキハウス=が着実に歩を進めている。2月1日付世界ランキングは57位。日本選手ではエース錦織圭(日清食品)の41位に次ぐ存在だ。新型コロナウイルスの脅威にさらされた2020年シーズン、けがが影響して多くをリハビリに費やした31歳の錦織に対し、西岡は確かな成長を遂げた。21年は、これまで自己最高が48位の世界ランクをグッと引き上げることを視野に「もっと高いランキングにいられるはずだと思っている。30位以内を目標に、しっかりと頑張っていきたい」。2月8日にはコロナ禍で延期された四大大会第1戦、全豪オープンが開幕。東京五輪も控える新シーズンで、さらなる躍進が期待されている。(時事通信運動部 木瀬大路)

壁を越えた1年前の全豪

 1年前の全豪オープン。西岡は一つの壁を越えた。四大大会16度目の出場で初めて3回戦に進出。全豪に限れば1965年の石黒修、8強入りが4度の錦織に次いで日本選手3人目となった。3回戦では世界ランク2位のノバク・ジョコビッチ(セルビア)に屈したが、収穫も手応えも十分だった。

 伏線はあった。その全豪に先立つ国別対抗戦のATPカップで、欠場した錦織に代わり相手国のエース格と対戦。「ナンバー2」としての役割を担った。当時世界ランク73位だった西岡は、ウルグアイ戦で同45位のパブロ・クエバスを破り、ジョージア戦でも同26位のニコロズ・バシラシビリに勝利。格上にひるまなかった。続くスペイン戦では世界ランク1位のラファエル・ナダル(スペイン)が相手。最強の実力者に粘り強く立ち向かい、敗れはしたものの6―7、4―6の好勝負を演じていた。

コロナ禍、中断挟んで転戦

 その後、2月のデルレービーチ・オープン(米フロリダ州)で決勝に進出。ツアー初勝利を挙げた2018年9月の深玔オープン(中国)以来となる決勝に臨んだ。ライリー・オペルカ(米国)に5―7、7―6、2―6で敗れて2勝目は持ち越しとなったが、直後の世界ランクで63位から自己最高の48位に浮上した。

 春以降はコロナ禍でツアーが中断。半年ぶりの公式戦となった全米オープンは1回戦で、故障などにより世界ランクは落ちているものの元世界1位のアンディ・マリー(英国)にフルセットの末に惜敗した。秋に延期された全仏オープンでは2回戦敗退。その後はケルン選手権(ドイツ)で8強入りし、11月のマスターズ・パリ大会では2回戦で敗れた。感染対策に伴う規制が厳しい中での転戦に「遠征先でも帰国しても、なかなかリラックスできなかった。かなりタフだった」と打ち明ける。

170センチの負けず嫌い

 三重県出身。4歳でテニスを始め、元プロの父範夫さんの指導で腕を磨いた。小学生の全国大会で優勝するなど早くから頭角を現し、中学3年の時に錦織も在籍した米フロリダ州のIMGアカデミーに留学した。勝ちにこだわる熱い気持ちと、柔軟な発想やひらめきで冷静に相手を分析するスマートさを併せ持つ。

 身長170センチ。もともと体は大きくないが、テニス界では世界的に見てもかなり小柄なプレーヤーだ。リーチやパワーで他の選手に劣るだけに元来、負けず嫌い。どうやったら相手に勝てるか、どこに打てば嫌がるかを模索し、サウスポーから繰り出す強烈なトップスピンをかけたフォアハンドショットを軸に、ラリー戦で打ち勝つスタイルを進化させてきた。粘り強い戦いぶりは、四大大会20勝を誇るナダルにも似ている。

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