2021年2月1日に軍事クーデターが発生したミャンマーで、市民らの抗議行動が激しさを増している。最大都市ヤンゴンでは7日、大規模なデモ行進が繰り広げられ、参加した人々はクーデターへの反対とアウン・サン・スー・チー国家顧問の釈放を訴えた。これまでのところ、治安当局との衝突は起きていないが、ヤンゴン中心部の公園では、武装した警官隊と市民らがにらみ合いを続けている。
水を差し入れ、警察官を説得
ヤンゴン中心部のマハバンドゥーラ公園前では7日午前、数十人の警察官が列をつくって道路を封鎖していた。それに対抗する形で、数百人規模で市民らが集まり、「スー母さん(スー・チー氏)に安全を」といったシュプレヒコールを上げた。市民らによるデモ行進は、各地域で散発的に起きており、いったんマハバンドゥーラ公園に集まったデモ隊が移動すると、すぐに別のデモ隊が到着し、警官隊に向け抗議を続ける形になっている。
時折、市民の間から、警官隊に水や花を差し入れる姿が見られる。ライフル銃と透明の大きな盾を持ち、ヘルメットをかぶった重武装の警察官1人1人の足元に、ペットボトルの水やバラの花が置かれると、デモ隊から大きな拍手が上がった。
これは国軍側の命令で道路封鎖に駆り出されている警察官に、「市民の味方をしてほしい」と、平和的に説得しようとする意思表示だ。市民の中には警察官に直接話し掛ける人の姿も見られる。そうした市民の働き掛けに対し、警官隊は固い表情で直立不動のままだった。
同日、学生街として知られるヤンゴン・レーダン地区でも大規模なデモが行われている。デモ隊はスー・チー国家顧問の肖像や、独裁に抗議するとのプラカードを掲げて、「民主主義を守れ」などと大声を上げた。デモ隊が通過する沿道では、独裁政権への抗議を意味する3本指を立てて、デモ隊への支持の意思表示をする住民が多かった。
デモに参加した男性は「怖くはない。今怖いと言って声を上げなければ、この先ずっと恐怖の中で暮らすことになる」と話した。
現在、現地ではインターネットや国際電話はほぼつながらない状態となっており、市民らはわずかに通じる電話で連絡を取り合っている。ヤンゴン市内のさまざまな場所で、10人程度の小さなグループが作られ、次々と沿道に出て抗議活動を行っている。3本の指を立てながらクラクションを鳴らして走行する自動車も多い。
一方、ヤンゴンの警察側はこれまでのところ、デモを力ずくで制圧する動きは見せていない。レーダン地区のデモでも、警察が積極的にデモ隊を抑止する姿はなく、主要道路に封鎖線を敷いて、デモ隊の動きを止める程度だ。ただ、中部マンダレーでは抗議運動に対する逮捕者が出ていると伝えられている。
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