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【詳報】森喜朗会長会見 女性増え「JOCもこれから大変」

むなしく響く「五輪精神」

 東京五輪・パラリンピック組織委員会の森喜朗会長は4日、前日の日本オリンピック委員会(JOC)臨時評議員会で「女性がたくさん入っている理事会は時間がかかる」などと発言した問題について記者会見した。前日の発言は撤回したが、「五輪精神に反していた」とする反省の弁がむなしく聞こえる釈明が続いた。詳報は次の通り。

 ◇  ◇  ◇

【森会長冒頭発言】

 「この中にはきのうの理事会の後で私がごあいさつしたのを聞いた方がたくさんいると思うので、これ以上詳細なことは申し上げません。今皆さんにわざわざお集まりいただき、ご心配いただいていることは恐縮しております。きのうの発言に関しましては五輪・パラリンピックの精神に反する不適切な表現であったと認識しております。
 そのためにまず深く反省をしております。そして発言については撤回をしたい。それから不愉快な思いをされた皆様にはおわびを申し上げたい。
 五輪・パラリンピックにおきましても男女平等が明確にうたわれております。アスリートもスタッフも多くの女性が活躍していて大変感謝しております。私どもの組織委のことを申し上げたわけではないことは、皆さんもご承知だと思います。組織委については円満にうまくいっていることも、きのうのあいさつの中で申し上げたことも聞いておられると思います。
 大会まであと半年になりまして、関係者一同一生懸命頑張っておられます。その中で責任者である私が皆さんのお仕事に支障があるようなことになってはいけないと考え、おわびして訂正・撤回をするということを申し上げたわけであります。
 世界のアスリートを受け入れる都民、国民、国際オリンピック委員会(IOC)、国際パラリンピック委員会(IPC)をはじめとする国際的な関係者にとっても、五輪精神に基づいた大会が開催できますように、引き続き献身して努力していきたいと。以上です」

「粗大ごみなら掃いてもらえば」

【質疑応答】

 ―昨日の発言について国内外から大きな批判が上がっている。辞任を考えたことがあったか。

 森会長「辞任するという考えはありません。私は一生懸命、献身的にお手伝いして7年間やってきたわけなので、自分からどうしようという気持ちはありません。皆さんが邪魔だと言われればおっしゃる通り、老害が粗大ごみになったのかもしれませんから(笑)、掃いてもらえばいいんじゃないでしょうか」

 ―IOCは五輪における男女平等を掲げている。日本もジェンダーバランスを同じようにしていこうと努力している中での発言だが、世界に対してどのように説明してくか。

 「これ以上のことを申し上げて、また誤解が誤解を生むし、(きょうは)必ずしも今までいつもここに来ている皆さん(記者)と違う方もいてよく分からないところもあるので。私は組織委の理事会に出たわけじゃないんですよ。私はJOC評議員会に名誉委員の立場であいさつをして、それも大会の前にしてくれと言われたが、後からお礼のつもりであいさつしますと言って、終わってから話をした。自分なりに整理をしたつもりです。どうも組織委の理事会と一緒にしている方がいるかもしれない。それは皆さんの報道の仕方だと思いますが。
 山下(泰裕JOC会長)さんが、今度の改革は大変大きな改革で、人事の改革では大変な苦労をして理事会でも最初から突き上げを食ったりして難航しておられ、たびたび相談を受けていたので、頑張れ頑張れと後押しをしてきました。山下さんの最初の大きな仕事として成功してもらわないといけない、それが人事でしたから、そのことがよくできたということを評価し、山下さんにお礼を申し上げるという発言をしたんです。いわゆる政府から来ているガバナンス(コード)については、あまり数字にこだわるとなかなか運営が難しくなることもありますよという中で、私の知っている(競技団体の)理事会の話をしてああいう発言になったということです」

 ―女性の話が長いという発言は、日本ラグビー協会の特定の女性理事を念頭に置いた発言か。

 「一切頭にありませんし、ラグビー協会の理事会でどういう人が理事で誰が話したかは一切知りません」

女性登用、「数字」ありきには疑問

 ―IOCから真偽の問い合わせなどは。

 「私は分かりませんが、職員は毎日毎日、きょうも向こうが夜が明けるとこちらは夕方だから、会議が始まるからそういう話はあるかもしれません」

 ―森会長から説明する意思は。

 「そんな必要はないでしょう。今ここでしたんだから。きのうのは(記事に)出してくれてきょうのは出さないわけじゃないでしょう。みなさんが出されれば分かるじゃないですか」

 ―会長は国民から理解を得られる大会の開催をと言っているが、五輪の理念に反する発言をして責任を取らないことが、逆に開催への批判を強めてしまうのではないか。

 「ご心配いただいたということであれば、ありがとうございます。しかし、あなたがおっしゃる通りのことを、最初に申し上げたじゃないですか。誤解を生んでいけないので撤回しますと。五輪精神に反すると申し上げている」

 ―女性登用について基本的な考えを。会長は多様性のある社会を求めているわけではなく、単に文部科学省がうるさいから登用の規定が設けられているのだという認識か。

 「そういう認識じゃありません。女性と男性しかいないんですから。もちろん両性というのもありますけど。どなたが選ばれてもいいと思いますが、あまり数字にこだわって何名までにしなければいけないということは、一つの標準でしょうけど、あまりこだわって無理なことをなさらないほうがいいな、ということを言いたかったわけです」

 ―きのうの「文科省がうるさいから」というのは数字のことか。

 「うるさいからというより、そういうガバナンス(コード)が示されて、守るために皆さん苦労しておられるようです。私は今どこの連盟(競技団体)にも関係をしていないが、いろんな話は入ってきます。そんな話を総括して会議の運営は難しいですよということを、山下さんに申し上げたわけです」

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