森喜朗前会長の辞任を受け、東京五輪・パラリンピック組織委員会の新会長に就任した橋本聖子前五輪担当相は2月18日、組織委理事会後に記者会見し、コロナ禍での開催に向けた決意などを語った。やりとりは次の通り。
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【冒頭発言】
「先ほど理事会の中であいさつし、コロナ対策、ジェンダー、初めて経験した延期について抱負を話したが、改めて。
まずは都民、そして国民の皆さまへ。五輪・パラリンピックも社会の一部であり、何よりもコロナで厳しい状況にある社会の一日も早い回復を祈っている。状況の改善を期待しながら、五輪のあり方をしっかり進めていきたい。国内でもワクチン接種が始まり、希望の一歩になると実感している。医療従事者の皆さまに心より敬意を表し、改めて感謝申し上げたい。
1月のコロナの状況により、今年の大会開催を不安に思う方も増えていると思う。加えて今回、新会長を選ばざるを得なくなった経緯も皆さんを困惑させるものではなかったかと思う。
コロナの状況はまだ厳しいが、五輪相として政府の立場から大会のコロナ対策に取り組んできた。今後は組織委会長の立場で万全の体制を敷き、実際にどのように私たちが安全優先の大会にできるか、丁寧な説明を心がけたい。
また多くの方は組織委が大会を契機としたジェンダー平等の推進にどう取り組むか注目していると思う。スピード感を持って進め、信頼回復に努めたい。
アスリートの皆さまにもあいさつしたい。コロナ禍の苦境にあって、さらに今日の世論の中で五輪の舞台を目指すことすら果たしてよいものかと自問自答する日々は本当に苦しいものだろうと想像している。私もアスリート出身の立場から、私のミッションは参加者にとっても国民にとっても安全最優先の大会を実現し、アスリートが迷うことなく夢の舞台に立てるよう社会の空気を変えていくことだと思う。アスリートファーストの視点をしっかり見据えながら、ミッションを果たしていく。
これまで日本オリンピック委員会(JOC)強化本部長当時から、「人間力なくして競技力向上なし」と訴え続けてきた。コロナ禍だからこそスポーツで何ができるか、自らの尊い役割を探求し、社会に貢献するスポーツの価値を示していただきたい。自信と誇りにあふれる東京大会にすべく、アスリート出身として全力を尽くしたい。
ボランティア、聖火ランナーの皆さまにも。辞退された方もいると聞いている。誰よりも楽しみにしていた皆さんにはもう一度。一翼を担っていただけるなら、ぜひまた参加していただけるように準備も整えていきたい。
パートナーの皆さまにはこれまで物心両面で大変なご支援をいただいた。そのエネルギーは何にも代えがたい機運醸成のパワーにもなっている。ラストスパートにぜひ力を貸していただきたい。
あと5カ月。来月には聖火リレーがスタートする大変重要な局面を迎えている。会長として献身するとともに、政府、東京都、関係自治体と緊密に連携しながら、大会開催に尽力していく。
史上初の延期となった大会。今まで長い五輪・パラリンピックの歴史で延期は初めて。その組織委だからこそ、持続可能な大会を開催するために東京モデルとしてのレガシーとなるようにしっかり提言したい。東京モデルが国際オリンピック委員会(IOC)、国際パラリンピック委員会(IPC)の将来の開催指針となって末永くレガシーとなるよう、新たな目標を打ち出しながら国民の皆さんに歓迎される東京開会開催に向けて全力で取り組む」
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