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戦後保守政治の裏側13 菅首相「カーボンニュートラル宣言」の可能性 言葉への信頼回復の先にこそ「成長戦略」がある

携帯電話料金値下げの実現

 2020年12月3日にNTTドコモは、20ギガバイトで月額2980円の新プランを来年3月から導入すると発表した。5分間までの通話はかけ放題。インターネットは海外でも手続きなく使えるし、次世代通信規格「5G」にも対応する。そしてプラン変更の際の、申し込み手数料が無料となった。【日本テレビ経済部長・菊池正史】

 これは菅義偉首相の強い意向を受けたものだ。携帯電話料金の値下げに対する菅の思いは、以前から強かった。「大手3社(NTTドコモ、KDDI、ソフトバンク)の利益率は20%を占めており、携帯料金は4割程度引き下げる余地がある」と明言していた。また、グループ会社内でもメインから格安へブランド変更する際、高額な手数料を取っていたため、菅は「利益率が高いメインブランドへの顧客囲い込み戦略だ」と批判してきた。確かに使っている電波は政府によって割り当てられたもので公共性が高い。携帯電話は、今や、水道や電気と同じレベルで、生活には欠かせない公共財だ。政府からは「それなのに暴利をむさぼるとは何事だ」という声が聞こえてくる。

 一方で、政治の圧力による携帯料金値下げは、民間企業による適正な競争によって価格が設定されるという、健全な資本主義の原則を歪めるという批判も根強い。「暴利」だと誰が判断すべきなのだろうか。アフターケアや通信性能などのクオリティーを考えたときに、適正な値段とはどうあるべきなのかは、マーケットが判断することであり、政府の役割は公正な競争の障害を取り除くことにあるという主張だ。

 さまざま議論があるところだろう。しかし、人々の「懐具合」に直結することなので、菅首相の携帯料金値下げを歓迎する人は多い。NTTドコモが新プランを発表した直後に行われたNNNと読売新聞による世論調査でも、50%の人が「携帯電話会社の取り組みは不十分だ」と答えており、菅の背中を押している。

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