今夏の東京五輪で金メダルの期待がかかるバドミントン男子のエース、桃田賢斗(26)=NTT東日本=が勝負の年を迎えた。1年前にマレーシアで、乗っていた車が交通事故に遭い、帰国後に右の眼窩(がんか)底骨折が判明して手術。昨年12月下旬の全日本総合選手権で11カ月ぶりに実戦復帰して3連覇を果たした。大会前にオンラインでインタビューに応じ、五輪イヤーに向けての抱負を語った。その中で、福島県の富岡高在学時に発生して今年3月で10年となる東日本大震災などにも触れながら、新型コロナウイルスの影響で1年延期となった大舞台に対する思いを口にした。(時事通信運動部 山下昭人)
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―新しい年を迎える心境は。
ムズい(難しい)っすね。五輪がありますし、周りもそういうムードになると思う。期待や応援はすごくうれしいんですけど、焦ってもいいことがないと思うので、ぶれずに目の前のやらないといけないことができればいいと思います。
―五輪に対する自分への期待は。
バドミントンの注目度は絶対的に上がっていると思いますし、その流れで自分が五輪で結果を出すのは意味があることだと思う。優勝を目指して貪欲に勝ちに行きたいなと思います。
勝負事なので勝つこともあれば負けることもあるし、出るからには金メダルを目指したい気持ちはありますけど、そうじゃなかったとしても不完全燃焼で終わるのではなくて、コートの中で感謝の気持ちや諦めない姿勢をしっかり伝えられるような試合にできたらいいなと思います。
―コロナ禍による競技観や人生観の変化は。
そこに対しては、あんまり自分自身変わっていないですね。(20年)1月にああいうアクシデント(マレーシアで重傷を負う交通事故)があって、いつ何が起こるか分からないから、自分ができることを必死にやっていこうと思っていたので。コロナに対して何か変わったということはないですね。
―コロナで不安な世の中へ、どんなメッセージを届けたいか。
コロナに感染してネガティブな気持ちになってしまう人もたくさんいると思います。スポーツの力は偉大だとしても、命には絶対に代えられない。正直、五輪は開催してほしいですけど、やむを得ない場合は仕方ないと思います。もし開催された場合は、ネガティブなニュースを全部飛ばせられるような大会にできたらいいかなと思います。
―五輪開催に賛成、反対の意見がある。開催意義について思うことは。
スポーツを通じていろいろなことを感じて、元気だったり、パワーだったり、失敗した時の悲しさだったり、悔しさだったりも共有できると思います。先は分からないですけど、もしできるなら、そういうスポーツの力をもっともっと見せたいと思う。
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