2020年12月の記事でグアムの現状をお伝えしたが、新型コロナウイルスの感染状況は、新年を迎えて少しずつ改善してきている。21年に入ってからの1日当たり新規感染者数は平均で十数名程度、1万人当たりの累計死亡者数は約7.5人。香港やオーストラリアなど感染抑え込みに成功している諸外国と比較すると、決して低いと言える数字ではないが、それでも島内は少しずつ落ち着きを取り戻し始めた。
「医療従事者」などから「第1期」接種がスタート
20年12月15日、グアム国土安全保障室(安全保障、災害対策などを所管するグアム政府の機関)のウェブサイトで、新型コロナウイルスの抗体ワクチンがグアムに到着したと発表された。このワクチンは12月12日に米食品医薬品局(FDA)が緊急使用を認めたばかりで、全米に向けて初めて出荷されたものの一部が、グアムにも送られたのだ。さらに、接種費用は米連邦政府が負担し、グアム在住の接種可能な10万人超の島民は、無料で接種を受けられることも明らかになった。島民は優先度によってグループ分けされ、12月17日から順次、接種が始まった。その第1期に入った筆者は、1月初旬に接種を受けることができたので、その体験も併せてリポートする。
ワクチン接種対象者が約10万人いるといっても、その全員分のワクチンが一度にすぐ用意できるわけではない。ワクチン到着前の12月10日、グアム政府高官と有識者24人からなる「新型コロナウイルス抗体ワクチン優先順位付け政策委員会」が組織され、米疾病対策センター(CDC)が定める基準をベースに、誰にどんな順番でワクチンを接種するのかというグアム独自のガイドラインが決められた。
最初に接種を受ける「第1期」は3グループに分けられ、そのうち最優先グループ「1-a」期とされたのは、「医療従事者」と「介護施設および老人ホーム入居者」などだ。「医療従事者」には、医師、医師助手、看護師、臨床検査技師、薬剤師、救急医療隊員ならびに救急医療室従事者、歯科医師が含まれる。グアムには医療従事者が約2100人、介護施設・老人ホーム入居者が約60人いるが、彼らへの無料接種が行われたのは、ファイザー製ワクチンの初回分がグアム国際空港に到着した2日後の12月17日から19日にかけてのことだった。
次に優先されるグループ「1-b」とされたのは、CDCがコロナウイルスに対して最も脆弱(ぜいじゃく)性レベルが高い年齢層と発表している「75歳以上」。彼らを対象にしたワクチンの無料接種の実施は、「1-a」のグループが接種を受けた翌々週の12月28日から30日だった。
優先順位が3番目の「1-c」とされたのは、「60~74歳のシニア層や新型コロナウイルスにかかると重症化しやすいといわれる糖尿病などの慢性疾患を抱える医師からの診断書を持つ人たち」だ。
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