◇公務員の世界では…
いよいよ公務員の定年が65歳に引き上げられることになりそうだ。定年延長については、10年以上前から公務員の天下り問題などとも関連して議論されてきた。
2008年の国家公務員制度改革基本法では、定年を段階的に65歳に引き上げることについて、政府において検討することが定められているし、2018年6月には「公務員の定年を段階的に65歳に引き上げる方向で検討する」旨が閣議決定された。
人事院は同年8月に、定年の段階的な65歳への引き上げ、管理監督職員への60歳役職定年制の導入(60歳に達した場合は降任または転任)、60歳を超える職員の給与は、60歳前の7割水準に設定することを主な内容とする意見の申し出を行った。
この意見の申し出は、全体としては民間の動向などを踏まえたものと考えられるが、一方で新たに提案された役職定年は、公務に今までなかった問題を提起しているように思える。
民間においては、既に55歳役職定年などが行われており、役職定年になった者は管理職等の役職を外れ、専門スタッフ職や課長補佐職等に就くことになる。
公務の場合、こうしたポストについては、厳しい財政状況の中で該当者数に見合ったポストが確保できるか? 不必要なポストをつくることにならないか? 若手昇任の障害になり組織の活性を奪うのでは? 人事評価はどうなるのか? といった疑問が生じる。
より本質的な問題としては、高齢になったからといって、能力の検証なしに役職を外すのは非合理的な年齢による差別ではないか? 定年延長の中での役職定年は、これまで強調されてきた給与原則である職務給、能力給、成果給に代えて、生活保障給(ライフステージに応じた生活を保障する給与)を柱とする給与制度に代えていくのかなど疑問、問題が山積している。
さまざまな問題は抱えているが、定年延長は、国家財政、経済成長、労働力確保、個人生活の充実など、さまざまな視点からも避けて通れない路であり、総合的な対応が求められている。(葦)
(時事通信社「地方行政」2020年1月9日号より)
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