使い捨てられる教師たち 「非正規教員」制度の構造的課題

2020年12月10日16時00分

1年ごとに異動、「出戻り」になることも

 非正規教員とは、民間企業で言えば契約社員・パートタイマーのような形で、地方自治体に雇用される教員のことだ。その多くは正規教員を志望する人たちで、非正規教員として働きながら、採用試験の合格を目指している。

 非正規教員は、大きく「臨時的任用教員」と「非常勤講師」に分かれる。授業のみを担当する非常勤講師と違い、臨時的任用教員の場合、受け持つ仕事の量は正規教員とほとんど変わらない。学級担任や部活動顧問となり、会議や行事にも参加する。そのため、日々の仕事は忙しく、採用試験対策に十分な時間が取れないことも多い。その結果、不合格を繰り返し、何年も非正規教員のままという人もいる。

 「先輩の先生に、『本気で合格したいなら、採用試験がある7月まではある程度割り切って子供と向き合った方がいい』と言われました。でも、私にはそれができませんでした。子供にとっての一日一日は、戻ってこないからです」

 そう話す浦川先生は、採用試験に合格するまで6年の歳月を要したという。

 非正規教員の場合、雇用契約は最長で1年と決まっている。運よく翌年度も同じ学校で再雇用されることもあるが、多くの場合、1年ごとに学校を渡り歩く。浦川先生も非正規教員時代は1年ごとに勤務校が変わり、いわゆる「出戻り」もあったという。「保護者の中には、非正規教員という存在自体を知らない人も多い。1年後に戻ってきた私のことを不思議そうに見ていた人も多いと思う」と当時を振り返る。

「駒」として見られているよう
 非正規教員は、正規教員に産休・病休等が出た際の代役的な立場ということもあり、どうしても都合よく使われがちだ。現在、首都圏の小学校に勤める福野利治先生(仮名)は、非正規教員だった頃、「8月末」で雇用契約が切られた時のことをこう振り返る。

 「4月の着任時に、『契約は8月末までだけど、9月以降も継続雇用となる可能性が高い』と校長先生に言われていました。私も1年間、その学校に勤める気でいたのですが、8月に入ってから急きょ、育休の先生が戻って来ることになり、『やはり8月末まで』と言われました。居心地が良い学校だったので、本当にショックでした」

 このままでは9月以降、「無職」になって生活できない―焦った福野先生だったが、幸いにもすぐに次の勤務校が見つかり、9月2日から着任した。しかし、この学校での7カ月間も、実に目まぐるしいものだった。

 「当初は担任を持たず、算数の少人数指導担当でしたが、途中で病休者が出たことから2年生の担任をすることになりました。その後、病休だった教員が復帰し、再び算数の少人数指導担当に戻ったのですが、今度は3年生に病休者が出て、そのクラスの担任になりました」

 こうして大車輪の働きを見せた福野先生だったが、予定通り3月末には契約切れとなり、その学校を去ることになった。

 「非正規教員は、3月末に子供に『さようなら』も言えないまま、次の学校へ異動することも多い。離任式に出られないこともあります。子供のためにもならない仕組みで、大人の都合で現場を振り回している。私自身、一人の人間としてではなく、駒として見られているような気がしました」と、1年間に2校で合計3学級の担任をした当時を振り返る。

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