昭恵夫人付きの職員に森友学園の籠池泰典理事長(当時)が手紙を出し、10年の定期借地契約を50年に変更し、「早期に買い取れるようにしたい」、さらに「学校用地が半値で借りられたらありがたいです」などと要望していた。
その職員は、その要望について財務省の国有財産審理室長に問い合わせ、「国側の事情もあり現状では希望に沿うことはできない」と、ファクスで回答していた。そして、このやりとりを昭恵夫人に報告していたことも分かった。
野党側は、まさに昭恵夫人が「関与」していたではないかと追及したが、安倍は、「籠池氏側の要望に応えることはできないと、きっぱりお断りしたと承知しております(中略)。むしろゼロ回答であり、忖度していないことは明らか」(2017年3月24日・参議院予算委員会)。
また、「どのような形で関与というふうに考えるかということでございますが、まさに貸し付けそのものに何か便宜を与える意味における関与は全くない」(2018年3月28日・衆院予算委)という答弁を繰り返した。
ここで注意したいことは、安倍によって、「関係=関与」という言葉が、「何か便宜を与える」という意味に矮小化され、すり替えられているということだ。
安倍は、「関与」には「さまざまな定義があろうかと思う」「私がここで答弁させていただくことのできる関与とは、私が最初に国会において、いわば総理の職を辞するということについての関与のみでございまして、(中略)一般論としての関与ということについては、私はここで答える立場にない」と説明した。
つまり、安倍が「関係していれば職を辞する」と発言した際の「関係=関与」とは、「何かに便宜を与える」という「意味」であり、一般論としての「関与」が何を意味するかには言及しないと言っている。
百歩譲って、昭恵夫人が名誉校長であったことは、「利用された」という理屈も通るだろう。しかし、国有地をめぐって籠池から要請を受け、それを昭恵夫人付きの職員が財務省幹部に問い合わせて回答し、昭恵夫人自身にも報告していたという事実が判明したのだ。当時、与党内でも「関係していたと認めざるを得ない」という意見が大勢だった。
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