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名門ドジャース、復活支えた伝統の育成 ワールドシリーズで32年ぶり王座

日本球界と深い交流

 新型コロナウイルスの影響で短縮シーズンとなった今季の米大リーグは、ドジャースがレイズとのワールドシリーズを4勝2敗で制し、32年ぶり7度目の頂点に立った。近年、あと一歩まで迫りながら及ばなかった西の名門球団。実績のあるスター選手と伸び盛りの若手選手が融合した形で戦力が充実し、遠ざかっていた王座にようやく返り咲いた。

 ドジャースが最後にワールドシリーズで優勝したのは、現エースのカーショーが生まれた1988年。名物指揮官のラソーダ監督の下、名投手ハーシュハイザーが投げ、主砲ギブソンがワールドシリーズ史上に残る逆転サヨナラ本塁打を放った輝かしいシーズンだった。

 98年に家族的な運営で知られたオマリー家が球団を手放した後、特に近年は膨大な資金を選手獲得につぎ込んで補強した。2017年には久々にワールドシリーズに進出。だが同年も、再び駒を進めた翌18年も、栄冠を逃していた。今季は60試合のレギュラーシーズンで両リーグ最高の勝率7割1分7厘を記録。その実力をポストシーズンでも発揮し、「三度目の正直」で頂上決戦を制覇した。

 「アメリカ野球愛好会」名誉代表で大リーグ評論家の福島良一さん(64)は、今季のドジャースについて「近年は豊富な資金力を生かして大物選手を獲得し、チームを強くしている印象があるが、一方で若手を育てて勝った」と評する。今季レッドソックスから移籍した高額年俸のベッツが、走攻守にわたり活躍。一方ではナ・リーグ優勝決定シリーズとワールドシリーズで続けて最優秀選手に輝いたシーガーや主砲ベリンジャー、捕手のスミスら生え抜き選手の貢献度も高かった。「それはドジャースの伝統。昔から若手育成に定評があり、幾多の新人王を生み出してきた。強さのバックボーンはそこにあると思う」。優勝を決めたマウンドを、カーショーでもなく抑えの切り札ジャンセンでもなく、伸び盛りで24歳の左腕ウリアスが務めたことは、今季のチームを象徴するようだった。

 ドジャースは日本球界との交流も深く、四半世紀前の1995年に大リーグにデビューした野茂英雄をはじめ、多くの日本人選手がプレーした球団としても知られる。石井一久、木田優夫、中村紀洋、斎藤隆、黒田博樹、前田健太、ダルビッシュ有らも「ドジャーブルー」に身を包んだ。頂点に立った今季は日本選手がプレーしていなかったが、ロバーツ監督の母が日本人という縁がある。

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