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エースを支える五輪ロスの12年 女子ソフトのアボット

間に合った日本リーグ

 来日が遅れていた女子ソフトボール米国代表のエースで日本リーグ・トヨタ自動車の大黒柱、モニカ・アボットがチームに合流し、さっそく2試合に登板した。渡航許可が下りず諦めかけたというが、今はコロナ禍にも「ソフトボーラーは忍耐強い。こんなこと、乗り越えられるわ」と語る剛速球投手。自粛中の様子や東京五輪への思いなどを聞いた。

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 何事もなかったかのように左腕を振る。長年コンビを組む捕手・峰幸代のミットが、バシバシと鳴った。むろん本調子には遠く、2試合とも救援での試運転だったが、11日の豊田自動織機戦(神奈川・サーティーフォー保土ケ谷球場)は4回1安打無失点、5奪三振。12日の日立戦(同)も2回1安打無失点、4奪三振。2試合で外野へ飛んだ打球は1本だけだった。「長い間投げていなかったけど、少しずつ感覚は戻ってきたかな」とアボット。

 米国でも、3月からあらゆる試合や練習ができなくなった。「自分でできることだけをやろう」と言い聞かせ、工夫するしかない毎日だったという。「時々ネットで友だちに『ボールを受けて』と頼んだりして。捕れないよねえ(笑)」

 日本リーグは前半が中止となり、後半の開幕は9月5日。「8月には行くつもりで7月後半から準備を始めた」が、ビザが発給されなかった。「何度も申請してはノー。その間にスキルが落ちたことも。行けたとしても2週間の待機期間がある。(試合に出るのは)難しいかなと、半分以上は諦めかけた」

 9月17日に突如、ゴーサインが出たとの電話があった。「『行キマース!』と答えたわ」。慌ただしい諸手続き。PCR検査後72時間以内に出国しなければならない。目が回るような数日を経て、25日に来日した。

 そこからまた自宅待機。「一人で走ったりして」体調を整え、チームに合流したのは今月10日だった。雨で12日に延びていなければ、試合当日だ。「スゴイデショ」と苦笑する強行日程で、マウンドに駆け付けたのだった。

 うれしいことに、トヨタは前節まで4勝1敗で首位を並走していた。投手陣は五輪代表候補でもある19歳の後藤希友らが踏ん張り、堤加菜子、古澤春菜、五輪代表候補・山崎早紀のクリーンアップに鈴木鮎美らの強力打線が援護。「全試合を動画で見て、みんな頑張ってる、すごいネ、早く合流したいと思った」という。後藤の成長も頼もしそうで、「球が速いし同じ左だし、ミニモニカね」。

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