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新型コロナ感染拡大をアプリで防ぐ香港の「強制検疫隔離」体験記

りんみゆき(文筆家/香港在住)

 世界215カ国で2588万人以上の感染者を出している新型コロナウイルス。香港での感染者は4823人、治療中の感染者は353人、死亡が90人である(9月1日現在)。香港政府は感染拡大を防ぐ水際対策として、2020年3月末に香港居民のみ入境できる入国制限を設け、さらに4月以降は入境者全員に対する2週間の強制検疫隔離政策を実施している。7月中旬にニュージーランドのオークランドから長距離フライトに搭乗し、香港到着後の強制検疫を体験した筆者がその徹底ぶりをリポートする。

オークランド空港の国際線ターミナルはゴーストタウン
 まずは出発地であるオークランド空港での様子から。

 国内感染がほぼゼロに近いニュージーランドでは、国境以外はほぼコロナ前の生活に戻っている。国内で一番利用者の多い空の玄関であるオークランド空港の国内線ターミナルは店も営業し、旅行客の姿もあるが、国際線ターミナルはひっそりとしている。2019年は2100万人の年間利用者がいたが、2020年7月の国際線は1日5~7便に減り、乗客数も大幅に減少した。

 搭乗口前の待合室で待つ乗客の半分くらいはマスクをしている。ニュージーランドでは感染者も少なく、日常生活でマスクをしている人はいないどころか持っている人も少ない。持っていなくても、搭乗の際はドアのところでマスクと手袋をした客室乗務員がマスクを一枚ずつ配布してくれる。個別包装されていないので、その場ですぐに着ける。機内では飲食時以外はマスクを着用するようアナウンスが入った。

 客室乗務員はマスクとゴム手袋をし、11時間の飛行時間中、通常通りの2回の温かい食事のサービスとスナックサービスが行われた。料理の内容も普段と同じで、簡略化はされていなかった。

 見たところ搭乗率は約3割で、空席が目立つ。離着陸は決められた席に座り、席を移動するときは必ず乗務員に許可を取る必要がある。万が一、機内で感染者が出た場合、座席番号で濃厚接触者が分かるようにするためだ。

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