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上野も惑わせた高揚感 女子ソフト「濃密」な開幕

藤田「試合ってすごい」

 ソフトボールの日本リーグ女子が5日、神奈川・大和スタジアムで開幕した。コロナ禍でようやく迎えた、日本ソフトボール界今季初の公式戦。藤田倭(太陽誘電)が「試合ってやっぱりすごいな」と言ったように、選手も観客も試合の重みと魅力を再認識した「濃密」な2日間だった。

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 この半年近い間、自粛が明けた後も、練習試合さえ十分できずにこの日を迎えたチームもある。そんなブランクを感じさせない攻防の連続だった。

 往年の大投手、三宅豊日本ソフトボール協会新会長の始球式に、スタンドがどよめいて始まった開幕試合は、デンソーがシオノギ製薬を8-2で下した。

 東京五輪代表候補の川畑瞳(デンソー)が一回に先制ソロ。内角球を右翼ポール際へ打ち込んだ。フルスイングに体の軸が負けず、打球が切れない。三回には左中間へ2ラン。守備でも川畑らしい「強さ」でピンチを未然に防いだ。

 藤田は第2試合に登場した。豊田自動織機を相手に危なげない立ち上がり。三回表には自らの本塁打で先制する。「今季は打撃でももうひと花」と期する打者としても、好スタートを切った。

 疲れが見えたのは五回。安打と死球で走者を背負い、投げ急ぎ気味の球が見え始めたのもつかの間、すぐに丁寧な投球を取り戻し、後続を断つ。六回もピンチを迎えたが、五輪代表候補の右翼手・原田のどかの強肩にも助けられ、得点を許さなかった。

 太陽誘電は3-1で快勝し、藤田は5安打1失点の完投勝ち。昨年の日米対抗で武器になった左打者の内角を突く変化球が、この日も有効だった。

 「五回は、体力がないなあと思って投げていました」と笑う。「疲れました。緊張感を練習でここまで感じることはないから、試合ってやっぱりすごいな」。そして、開幕にこぎ着けてくれた人たちへの感謝の言葉を続けた。

 ただ、自己採点は「50点くらい」。減点は先制直後の三回裏、金田汐央里にリーグ初安打となる同点本塁打を許した場面だ。見送ればボールだろうが、一番飛ぶ高いライズボール。五輪では許されない。「絶対あってはいけない本塁打」と反省を忘れなかった。

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