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コロナ禍での日豪ストレス比較

柳沢有紀夫(文筆家/豪在住)

 「コロナ禍」が中国から飛び出し、日本やその他の国々を襲ってからおよそ半年が経過した。その中で大きく話題になっているのが、「精神的ストレス」である。外出自粛や外出規制などによって家にこもることが増えた人々が、さまざまなものに対してストレスを感じているという。

 果たしてこれらのストレスは、海外でも同じように存在するのか、はたまた日本だけの特徴なのか。オーストラリア・クイーンズランド州の地方紙である「クリアメール」が2307人のオーストラリア人を対象にして7月に実施した「コロナ禍における人々の行動・精神状態の変容」に関する調査データを参照にしながら論じてみたい。

 だが、その前にオーストラリア人と日本人の性格的特徴を比較しておこう。オーストラリア人のことを「オージー」と省略することも多いが、その前に性格的特徴を入れる形容詞句を入れるとすると、日本人がまず挙げるのは「陽気な」であろう。その他には「おおらかな」もあり、少々否定的なニュアンスを含めた「能天気な」を挙げる人もいるかもしれない。

 もちろんすべての人が同じ性格であるわけはない。オージーの中にも、沈着冷静な人も細かいことを気にする人も陰気な人もいる。ただ「陽気なオージー」が多数派であることは事実だ。見ず知らずの人と街中で立ち話が始まることも日本と比べて圧倒的に多い。筆者などはそのくせが抜けず、日本に一時帰国した際にも他人に気軽に声をかけ、けげんな表情を向けられることなどしょっちゅうである。

 一方、オーストラリア人から見た日本人の印象は、よく言えば「礼儀正しい」だが、「シャイ(恥ずかしがり)で自分を表に出さない」となると思う。もちろん、これも外国人からしたらそういう性格に見える日本人が多数派というだけであり、中には陽気で、物おじしない日本人もいる。

 ただ、一般論でいうと「陽気なオーストラリア人」と「恥ずかしがり屋の日本人」、正反対の特徴を持つと言えるだろう。

 さてその前提で、いよいよ「コロナ禍」でのストレス比較をしてみよう。

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