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得点力のカギ、石川と黒後と長岡の「あと1年」 女子バレー

石川の思いがけない助走期間

 東京五輪でメダルを目指す女子バレーボール。日本代表が課題としてきた「得点の取り方」のカギを握る石川真佑、黒後愛(ともに東レ)と長岡望悠(久光)がこのほどリモート記者会見に臨み、現状や1年後への思いなどを語った。2019年に経験したことも置かれた状況も違う3人。それぞれの目に、来夏までの道はどう見えているのか―。

 3人の中で一番若い石川は、5月に20歳になった。「心境の変化は特になかった」と笑うが、コロナ禍で練習環境が制約を受けながらも、サーブレシーブの安定性、正確性、特に速いサーブに対するそれを意識して課題に取り組んでいたという。新鍋理沙の引退で、「残された」選手たちにはいっそう、サーブレシーブのレベルアップが求められることになった。

 19年は飛躍の年だった。U20日本代表のエースとしてU20世界選手権で優勝しMVPを獲得。直後のアジア競技大会でも優勝し、8月から代表に呼ばれた。ワールドカップでは、外国チームの監督たちから「日本の宝」などと高い評価を受けた。

 とりわけ相手ブロックの間を抜いたり、ブロックを利用したりと、173センチの身長を補う技術や適応力の高さが注目を集めたが、本人は満足していない。2月の合宿では「自分が思っている以上にブロックが前に出てきたり、2枚しっかり壁みたいに出たりしていた。自分がいい状態の時には見えているんですけど、自分が苦しくなった時に判断し切れていない部分もあります」と話していた。

 サーブも、中国などの強烈なサーブに崩され、自らのサーブには世界を相手に足りないものを痛感したようだ。今月2日にリモートマッチとしてファンにも公開された紅白戦では、ドライブをかけたサーブを打った。

 「(練習で)本数を多く打って、これまでより重いボールを打つようにして、相手の正面だと(トスを上げやすい)Aパスが(セッターに)返ってしまうので、もっと人と人の間を狙える技術を身につけることも意識しています」

 砂に水が染み込むように新しいことが身につく年齢。予定通りだったら、急成長のカーブに沿って五輪を迎えていたかもしれない。半面、中田久美監督は昨夏以来の疲れを見て取り、2月の合宿では少し心配も口にしていたが、3月以降、コロナ禍で思いがけず時間ができた。「石川は自粛期間中も最初にトレーニングを始め、(7月再開の)代表合宿に向けてコンディションを整えてきた」と頼もしく感じている。

 五輪の延期を「正直、もっと成長できる時間が増えたなと思いました」と受け止めた石川。国際試合がなくなり、高度な読みや瞬時の判断力を磨く場はお預けになったが、「自分たちの攻撃やディフェンスの練習はできると思います。粘りや速さは追求できると思うので、意識してやっていきたい」と、自分なりのロードマップを思い描く。

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