コロナ禍で東京五輪が延期になり、国際試合再開のめども立たない中、合宿中の女子バレーボール日本代表・中田久美監督が7月31日、リモートで記者会見し、チームの現状などを語った。先の見えない状況と限られた環境にあって、取り組んでいる強化とは―。
中田監督「コロナで今年は全ての国際大会が中止となってしまいましたが、延期された五輪(がどうなるか)を不安視するよりも、今できることを全てやって、選手たちに全力でやり切ったという経験と自信を持ってもらえるように、時間の共有、意思の疎通を大きな目標に合宿をしています。3月の米国遠征(中止)のために選抜していた17人の選手プラス2人の19人で、再開ガイドラインに基づいて、7月5日から段階的に招集し、強化を進めているところ。合宿前は選手のコンディションが非常に心配でしたが、思った以上にしっかり調整してきた選手が多いので、順調に来ています」
―東京五輪の延期が決まった時や、今回の合宿にあたって選手にはどんな話を?
「選手たちとグループLINEをしていて、ネガティブなことより、うまくなれるチャンスが増えたということで、この期間しっかり、時間の無駄のないよう準備しようと話しました」
―この間に強化したい部分は。
「昨年のワールドカップ(W杯)の反省などもあるし、課題もたくさんある。特に今回は、世界の強烈なサーブに対するサーブレシーブ隊形の習得と確立。バックアタックを含めたコンビのスピードと正確性。あとはイタリアとかセルビアのように、オポジットにポイントゲッターがいるチームに対しての基本のクロスのレシーブ。そのへんの強化が、時間が増えた中でじっくりできると思います」
―年内は国際大会がないので、実戦が不足する。
「7月から段階を追って練習していて、まだ男性の練習パートナーとゲーム形式までは強度を上げられていない。この合宿後半でしっかり練習パートナーを相手に高さ、パワー、個人としてもチームとしても強化を図りたい」
―新鍋理沙さんの引退とその影響について。
「非常に残念だけど、新鍋の性格を知っているだけに、意思も固く、尊重してあげるべきだと思う。でも私たちは足を止めるわけにはいかない。これはバレー界全体の大きな課題だと思うけど、アウトサイドに入る選手は全てのポジションができるように強化、育成をしないといけない。身長180センチ以上あるミドルの選手が、ブロックはできるけどレシーブはできないとか、そういうことのないように。オールラウンダーの育成が世界と戦う上で課題になる」
―新鍋さんにはどんな言葉を。
「6月の中旬から下旬にかけて、引退を決めましたという報告を受けました。チームの強化方針、けが、五輪延期といろんなことが彼女の中で重なったんだろうなと。五輪でメダルを取るのがどれだけ大変か一番分かっている選手。妥協をしない選手なので、相当悩んだと感じている。
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