独自路線を貫き、桁違いに多い死者
世界の多くの人々がロックダウンや外出自粛を強いられ、家庭内でしか楽しみを見いだせなかったこの春。例年になく好天に恵まれたスウェーデンでは、春の陽気に誘われた人々がレストランやカフェのテラス席で過ごし、その様子はセンセーショナルに世界のニュースとなった。新型コロナウイルス対策では、多少の規制はあったとはいえ世界でもまれに見る独自路線を採り、「ノーガード戦法」「集団免疫獲得作戦」「ソフト路線」などと騒がれた。小中学校を閉鎖することなく、ロックダウン(都市封鎖)も行わなかったスウェーデン。ヨーロッパの北の果ての小国スウェーデンが、ここまで世界で注目を浴びたことが今までにあっただろうか。
北欧の近隣諸国を見ると、いち早く3月11日にロックダウンを発表したのがデンマーク。翌12日には、ノルウェーが同様の決断を下した。フィンランドは同16日に緊急事態宣言。このように北欧の近隣諸国は、スウェーデンとは対照的なコロナ対策を行ってきた。そして1カ月以上にわたるロックダウンを行ってきたこれらの隣国も、イースター明けの4月中旬には、徐々に規制を緩和。デンマークは保育所や小学校を4月15日より再開し、ノルウェーでも同20日に同様の措置が取られ、フィンランドでも徐々に再開が始まり、5月14日には学校が再開された。現在学校は夏休みに入っている。
スウェーデンを除く北欧3カ国では、早い段階でのロックダウンを含むさまざまな対策が功を奏したのか、今のところ第2波の感染拡大を食い止めている。
7月7日現在の世界保健機関(WHO)の新型コロナウイルス死者数を見ると、デンマーク607人、フィンランド329人、ノルウェー251人。一方、スウェーデンの死者は5433人となっており、桁違いの多さである。人口100万人当たりで見ても、デンマーク約105人、フィンランド約59人、ノルウェー約46人に対し、スウェーデンは約541人と際立って高くなっている。
現在、スウェーデンを除く北欧3カ国は感染が落ち着いたとして、相互の行き来が可能となっている。だがスウェーデンに対しては3カ国とも国境を封鎖中。独自路線を採ったことが裏目に出たと、スウェーデン国内ではコロナ対策に対する批判の声がささやかれるようになった。
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