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資金と情報を独占する「感染症ムラ」 新型コロナウイルスと臨床研究

予算配分に影響力

 「感染症ムラ」の独占構造は、これだけではない。

 図3は2月13日、官邸の新型コロナウイルス感染症対策本部の第8回会合に提出された研究開発費の分配案だ。

 総額19億8000万円の予算のうち、感染研には直接9億8000万円、および日本医療研究開発機構(AMED)を介して東大医科研と併せて4億6000万円、さらに厚労省から1500万円が渡ることになる。総額は14億5500万円に上る。

 感染研以外には、東大医科研に1億5000万円(単独)、国立国際医療研究センターに3億5000万円が措置されている。

 東大医科研からは専門家会議に2人の委員が選出されているし、国立国際医療研究センターは厚労省が所管する独法で、OBが専門家会議のメンバーだ。東大医科研の前身が伝染病研究所であることは既に述べた。

 国立国際医療研究センターの前身は旧東京第一陸軍病院である。共に戦前から「感染症ムラ」を形成する。

 新型コロナウイルス対策を調べていくと、ムラ社会関係者が次々に出てくる。

 ムラ社会にいると、資金だけでなく情報も独占できる。研究者にとって、情報独占がどれだけありがたいかは言うまでもないだろう。

 厚労省クラスター対策班の一員である堀口逸子・東京理科大学教授は、4月24日の自身のツイッターで「計算式だせだせ、て、みなさんいうけど、査読中で、通ったら出します。て答えていたよ。西浦先生。掲載されたら出せます、て、当たり前すぎる回答でした。科学だから」と述べている。

 西浦教授がプログラムコードとデータをGitHubで公開したのは5月12日だ。新型コロナウイルス対策において、西浦氏の論文掲載と情報開示のいずれが優先されるべきかにおいて議論の余地はない。

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