東京を中心に新型コロナウイルス感染の収束が見られない中、コンサートホールやライブハウスなどでの活動が事実上難しい状態が続いているミュージシャンの間で、動画配信サービスなどを使って音楽映像を届ける試みが広がっている。
「メリー・ジェーン」などのヒット曲で知られるつのだ☆ひろさんの取り組みと、ライブハウス側が行う動画配信の動きを紹介する。
(編集委員・石井靖子/2020年7月29日配信)
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6月中旬、東京都文京区内のビル地下1階にあるつのださんのスタジオでは、ライブハウス風の照明が投じられる中、「家ロック」と名付けた映像の収録が行われた。5月中に撮影した「家ジャズ」に次ぐ仮想現実(VR)技術を用いた動画配信の取り組み第2弾だ。
「家ジャズ」撮影時の反省点を生かし、「ライブ感」がより出せるよう、照明なども工夫した。実際のライブ同様、つのださんが軽妙なトークを交えながら、仲間のミュージシャンとともに1960~70年代米国作品を中心としたロックナンバーの演奏を繰り広げる。
360度カメラ3台で捉えた映像は、スマートフォンなどにダウンロードした専用アプリ「REALIVE360(リアライブサンロクマル)」で視聴する。
「(ライブハウスなどでの活動が行えない状況で)どうやって音楽を届ければよいか考えていた。そんな中でVRを提案され、面白いと思った」とつのださん。
リアライブはNTT西日本グループが運営し、ベンチャー企業「アルファコード」(文京区)が撮影技術提供などを行う。
経済産業省系独立行政法人の「天才プログラマー/スーパークリエータ」認定を持つアルファコード社長の水野拓宏(みずの・たくひろ)さんは、「視聴時に画面上で操作すると、さまざまな角度や大きさで映像が見られる。アーティストの脇に回り込んだり、特定の部分をズームアップしたりといったこともでき、『実際のコンサートやライブより面白い』と言われることもあります」とVR動画の特長を解説する。
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