新型コロナで激変するオーストラリアの「移民問題」

メルボルンの感染爆発は移民や難民たちのせい?

 だがこのコロナ禍で、オーストラリアの(そして各国の)移民政策も大きく変わるかもしれない。

 3月下旬時点では、オーストラリア全土で毎日のように3桁の新規感染者が出ていた。ところが早めの外出規制や地域封鎖などが功を奏し、4月中旬から6月上旬までの50日間の新規感染者は、1桁か十数人、最高でも23人という状態が続いた。2020年6月9日にはとうとう2人までに減った。

 この調子では意外と早くコロナ禍から抜け出せるのではないか。海外旅行は無理にしても、日常生活はもうすぐコロナ前と同じになるのではないか。人々の顔はそんな希望にあふれているように見えた。

 ところがその後、ビクトリア州、特にその州都であるメルボルンの一部地域を中心に感染爆発が起きた。7月26日時点の新規感染者はビクトリア州が459人、シドニーを州都とするニューサウスウェールズ州が14人。その他の州ではパースを州都とする西オーストラリア州が2人で、残りの州・準州・首都特別区はいずれも新規感染者ゼロ。いかにビクトリア州が突出しているか、お分かりいただけるだろう。

 このビクトリア州の中でも特に重大な感染爆発を最初に起こしたのは、メルボルンの郊外のフレミントン地区とノースメルボルン地区にある9棟の「公共高層団地」だ。そこには約3000人の人たちが暮らしているというから、1棟平均で約330人。しかも、その中の一軒一軒に住む人数も多いという。

 住民の多くは移民や難民、亡命希望者(難民認定を申請中の人)だ。生まれ故郷から離れ、文字通り肩を寄せ合って住む移民同士が育んできた「大家族」的な濃密な関係も、感染を拡大させる一因となった。

 エレベーターや通路、ゴミ捨て場の共有など、公共団地ならではの住宅環境もソーシャルディスタンスを取りづらくさせ、自然と密閉空間・密集場所・密接接触のいわゆる「3密」をつくり出すことになった。それはまさに多数の感染者を出したクルーズ船と同じような環境と言えるだろう。

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