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新型コロナで激変するオーストラリアの「移民問題」

柳沢有紀夫(文筆家/豪在住)

 少子高齢化による人口減、特に労働人口の減少により、将来的な経済の衰退が予想される日本。そんな中、「移民を増やして労働人口(および消費人口)を確保して、衰退から逃れるべきだ」という意見がある一方で、「外国人が増えるのはなんとなく怖い」という声があるのもまた事実だ。

 移民に消極的な日本と違い、積極的に受け入れることで労働力を増やし、結果的に経済力を伸ばしていった国々がある。その一つがオーストラリアだ。

 だがそのオーストラリアの移民政策も、新型コロナウイルス禍で曲がり角を迎えるかもしれない。

移民政策により成長したオーストラリア経済
 国際通貨基金が発表している1人当たりのGDP(国内総生産)を見ると、日本は25年前の1995年の約4万3441米ドルが、最新データである2018年は約3万9304米ドルと、横ばいどころかむしろ減らしてしまっている。一方のオーストラリアは、1995年の2万0868米ドルから、2018年の5万6420米ドルと約2.7倍に増えた。

 1人当たりのGDPの世界ランキングを見ても、日本はこの23年で世界3位から26位と大幅にランクダウンしたのに対して、オーストラリアは19位から11位へと上昇。さらに同じ年で両国の1人当たりのGDPを比較してみると、1995年にはオーストラリアは日本の半分以下しかなかったのに、2018年には約1.44倍となっている。SNSなら間違いなく「(涙)」とか「号泣アイコン」あたりを付けたいところだ。

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