3月5日に東京都内で開かれた全国知事会の新型コロナウイルス緊急対策本部の会合では、政府に対する不満が噴出した。【日本テレビ政治部デスク・菊池正史】
「国からぽーんと発表されて、それへの対応でバタバタさせるのは避けてもらいたい。一番の現場を預かるのは市町村だ」
「マスクなどが逼迫している。供給の裏打ちもないのに『大丈夫です、提供します』と言われても大変なことになる」
そして終了後、飯泉嘉門会長は、記者団に対し、こう強調した。
「安倍首相は会見や国会答弁で『国と地方が心を一つにして、この難局に対応していく』と言う。(中略)そのためには国が地方をもっと信頼して、対策を打つのなら少しでも発表前に伝えていただく必要がある」
この不満の矛先は、安倍晋三首相が2月27日に急遽発表した全国小中高校の一斉休校要請だ。
1月末から、日本でも新型コロナウイルスの感染が拡大し始めた。2月14日、菅義偉官房長官は「日本では流行している状況ではない」と述べたが、感染拡大は止まることなく、24日に政府の専門家会議が「これから1、2週間が急速に進むか収束できるかの瀬戸際となる」との見解を表明した。
翌25日、政府は緊急対策をまとめたが、この時点で文部科学省は感染が拡大した場合は、休校などの判断をするよう全国の教育委員会に通知するにとどまっていた。
ところが、わずか2日後に、安倍が「一斉休校」を要請した。突然の要請に自治体や学校現場、そして子を持つ親たちは大混乱となった。授業や卒業式への対応、共働き家庭における子どもの預け入れ、休みを余儀なくされた場合の生活苦など、現場の実情が無視されたままの見切り発車だったことに、多くの自治体や国民が怒りをあらわにした。
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