新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)はラグビー界にも大打撃を与えている。日本のトップリーグは第6節限りで打ち切り。南半球最高峰リーグのスーパーラグビー(SR)も3月中旬から中断し、参戦契約が今季で切れる日本のサンウルブズは6試合だけでラストシーズンを終えた。イングランド、フランスなど北半球の主要リーグも試合ができず、6、7月に予定されていた全てのテストマッチも中止となった。世界中で各協会の財政悪化が予想され、今後は大幅なリーグ再編など地殻変動が起こりそうだ。(時事通信運動部 鈴木雄大)
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SRはワールドカップ(W杯)で優勝経験のあるニュージーランド(NZ)、オーストラリア、南アフリカの強豪チームで構成される国際リーグ。実力的には世界トップクラスだが、運営面は安定しているとは言い難い。スポンサーや多額の放映権料を支払うテレビ局のためにSRの価値を上げようと、これまでチームの再編やリーグ形式の変更を繰り返してきた。
1996年に12チームでスタートしてからリーグは拡大の一途をたどり、2016年には日本のサンウルブズとアルゼンチンのジャガーズも加わって18チームに。しかし、実力格差が広がったなどの理由で18年以降はチーム削減へかじを切る。なかなか勝てなかったサンウルブズは21年以降の参戦契約を結べず、昨春に除外が決まった。
W杯8強で評価急上昇
こうして試行錯誤してきたSRの運営は、コロナ禍でさらに混迷の度合いが深まるだろう。来季、14チームのリーグ戦を予定通りに実施できるかは不透明。不人気に悩む豪州ではチーム数を減らす案が出ている。長距離移動の負担が重く、時差の大きい南アの各チームがSRから離脱するとの憶測もある。
一方で昨年のワールドカップ(W杯)日本大会で初の8強に躍進した日本の評価は急上昇。サンウルブズの運営法人の渡瀬裕司代表理事は「状況が変わった。SRの次(来季以降)を議論する時に、一緒にやろうとなるかもしれない」と見通しを示した。将来的には南アを除くNZ、豪州、日本でリーグが構成されても不思議ではない。また、日本のトップリーグ上位チームが、SRのプレーオフに参加する計画もあるという。
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